レビュー

女性研究者の支援策徐々に

2006.09.08

 女性研究者にもっと活躍してもらわないことには、日本の科学、技術の発展はありえない。

 女性研究者育成・支援の必要性は、第3期科学技術基本計画に強くうたわれている。文部科学省が財務省に提出した来年度の概算要求にも、出産、育児のために研究を中断せざるを得ない女性の復帰支援策の拡充などが盛り込まれた。

 各新聞紙面にも、このところ女性研究者支援の動きを伝える記事が目につく。

 朝日新聞5日夕刊、科学面の記事「育児・研究両立へ支援策−女性比率25%へ文科省ようやく始動」(斎藤義裕記者)が、政府の取り組み、大学の対応例を分かりやすく紹介している。

 記事によると、出産、育児による中断を経て研究生活に復帰する若手研究者に、返済しなくてもよい月額364,000円の「生活費」を支給し、審査を経て年150万円以内の公的研究費を得る資格も与える特別研究員事業が動き出している。今年度30人の枠に対し、「352人(うち男性26人)の応募があった」。

 また、「学内保育の充実や、実験室の機器の操作を自宅でできるシステムの構築などを目指す」日本女子大の例が紹介されている。これは「女性の研究活動を組織全体で支える『モデル大学』に科学技術振興調整費から資金(計5億円)を提供する」国の支援策を受けた取り組みである。

 この記事には触れられていないが、文部科学省の来年度概算要求では、前者の「特別研究員事業」の枠を今年度の30人から100人に増やし、後者の「モデル大学」支援資金も倍増することになっている(2006年9月4日ニュース参照)。女性研究者に対する期待の大きさから考えると、今年度から、これくらいの規模で始めていても早くはなかった、かもしれない。(朝日新聞の引用は東京版から)

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