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第2の炭素ナノチューブの構造解明

2008.06.23

 独特の構造を持ち、その電子・光電子・磁気特性などさまざまな機能を利用した次世代ナノ材料として期待が大きいヘキサペリヘキサベンゾコロネン(HBC)ナノチューブの詳細な構造と、この構造体ができる仕組みを科学技術振興機構、理化学研究所、高輝度光科学研究センターの研究グループが解明した。

 HBCナノチューブは、相田卓三・東京大学教授をリーダーとする科学技術振興機構のプロジェクトチームが4年前に作り出した。HBCというのは炭素が蜂の巣状につながった平面的構造(13個のベンゼン環から成る)をしており、有機半導体材料として知られている。相田教授らは、このHBC分子に2本の疎水性の鎖とベンゼン環を経由した2本の親水性の鎖を左右非対称に取り付けてつくった膜をつくり、この膜が円筒状に巻き上がることによって、1本のHBCナノチューブが形成されることを発見した。

 今回、理化学研究所の大型放射光施設SPring-8のシンクロトロン放射光を利用して詳細な構造を調べた結果、HBCに結合した2つのベンゼン環は、HBC平面に対して約27度回転していることが分かった。このねじれの向きのために膜が単なる円筒状でなく、らせん状に巻き上がって、ちょうどDNAの2重らせん構造をほうふつさせるような構造(チューブ)になることが明らかになった。

 カーボン(炭素)ナノチューブは、1991年、飯島澄男氏(名城大学教授)によって発見され、世界的に大きな関心を呼んでいる次世代ナノ材料の有力候補。HBCナノチューブも、独特の電子・光電子・磁気特性を持ち得ることから、第2の炭素ナノチューブとして注目されている。カーボンナノチューブに比べ、同一の構造・特性のものを定量的に作製することが容易で、さらに、それらが自己組織化という自然現象に従い、一様なチューブを構築できるという特徴を持つ。

 今回の成果について、研究チームは、電界効果トランジスタや太陽電池、さらにはナノサイズのコイルなどの実現に向けて大きな第1歩だ、と言っている。

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