3月25日に発生した能登半島地震(マグニチュード6.9)による震動は、北陸電力志賀原子力発電所の設計時に想定した揺れを一部で超えるものだったことが、同電力の解析結果から、判明した。
想定を超えていたのは、長周期の震動。原子炉建屋内の安全上重要な機器・配管については、ほとんどが長周期の震動では揺れが小さい剛構造で造られており、実際に解析した結果でも、揺れは設計の範囲内で耐震健全性は確保されていることを確認した、と北陸電力は言っている。
原子力発電所は、過去の地震と活動度の高い活断層による地震を考慮して設定した基準地震動(S1)を基に耐震設計をしている。さらに、安全上重要な施設については、活動性の低い活断層による地震などから想定される大きな地震とマグニチュード6.5の直下地震を考慮した、より大きな基準地震動(S2)にも耐えられる設計にしている。
今回、原子力発電所敷地内の岩盤で観測された地震動(加速度波形)を解析し、志賀原子力発電所1号機、同2号機の設計の基準にした基準地震動と比較した。その結果、岩盤で観測された加速度波形のうち、1号機は周期0.36〜0.39秒と0.49〜0.80秒、2号機は0.36〜0.39秒と0.49〜0.76秒で、観測値がそれぞれ基準地震動S2を上回っていた。
これは、地震動のうち、周期の長い帯域で、設計時の想定を超える震動が実際に観測されたことを意味している。
北陸電力は、原子炉補機冷却水配管や排気筒など、まだ評価が終了していない主要施設について、耐震安全性の確認作業を続ける、としている。