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新型コロナ抗体、東京都の陽性率は0.6% 1万人規模の抗体検査を実施へ

掲載日:2020年5月15日

加藤勝信厚生労働相は15日午前の閣議後記者会見で、東京都と東北地方で行っていた試験的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)抗体検査の結果、東京都の陽性率は500検体で0.6パーセント、東北6県は500検体で0.4パーセントだったと発表した。また、来月以降、複数の自治体を対象に1万人規模で抗体検査を実施する方針であることを明らかにした。

加藤勝信厚労相(厚生労働省提供)
加藤勝信厚労相(厚生労働省提供)

厚生労働省は4月下旬から献血血液を用いて、複数の検査キットにより試験的に抗体検査を行っていた。今回明らかにされた数値を単純に計算すると、東京都では10万人中600人が抗体を持っていたことを意味し、これまで公表された報告感染者数よりはるかに多く、市中感染率はかなり高いことを示唆している。

しかし今回公表された結果は検体数が少なく、厚労省関係者は「検査キットにより結果にばらつきがあった」と説明している。これらのことから今回の陽性率から日本の市中感染実態を結論付けるのは早計と考えられる。今後も継続して抗体検査を続けるとともに詳しい分析が必要だ。

人口約1400万人の東京都における報告感染者数は、14日現在で約5000人。今回公表された数値を基に単純計算した推定抗体保有者数約8万4千人と比べてはるかに少ない。報告感染者数はPCR検査による確認感染者数で、国内の感染者総数の実態について政府の専門家会議の尾身茂副座長(地域医療機能推進機構理事長)は11日開かれた参院予算委員会で、「(実際の感染者数は)報告数の10倍か15倍か、20倍かは誰も分からない」などと述べ、実際の感染者数は報告数を大きく上回る可能性があるとの見解を初めて示していた。

今回の「東京都で採取した500検体中0.6パーセントに当たる3検体、東北6県では500検体中0.4パーセントに当たる2検体で陽性が出た」との抗体検査結果は、実際の感染者数は報告感染者数よりはるかに多い可能性が極めて高いことを示した。しかし加藤厚労相は記者会見で「今回の結果は一定程度擬陽性が含まれていると考えるのが自然で、今回の結果で抗体保有率に言及するのは適切でないと専門家から指摘された」と述べ、今回出された陽性率の解釈に慎重な姿勢を示している。

日本での抗体検査例としては、慶應義塾大学病院が4月21日に「4月13日から19日までの間に新型コロナウイルス感染症以外の病気で入院する予定の患者67人にPCR検査をしたところ、5.97パーセントにあたる4人が陽性だった」とホームページで発表している。この数値は今回公表された陽性率より一桁高く、この点についても分析が必要だ。

このほか、米ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は4月下旬に、同州の抗体検査で約14パーセント、ニューヨーク市内では約21パーセントが陽性だったことを明らかにしている。

抗体は、人体内に侵入したウイルスから体を守るために作られるタンパク質。抗体検査は血液を採取して調べ、感染から一定期間たった後に体内にできる抗体の有無を調べる。抗体は感染直後には検出できないために診断には使えないが、過去の感染歴を調べて市中感染率を把握することができる。菅義偉官房長官は4月23日の記者会見で、献血血液を用いて複数の検査キットの性能試験を始めることを明らかにしていた。

米国の患者から分離された新型コロナウイルスの電子顕微鏡画像(Credit: NIAID-RML)
米国の患者から分離された新型コロナウイルスの電子顕微鏡画像(Credit: NIAID-RML)
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