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日本のプルトニウム保有量47.9トン

2016.07.28

 内閣府は、日本の最新の分離プルトニウム保有量をまとめ、27日開かれた原子力委員会に「2015年末現在で約47.9トン」と報告した。分離プルトニウムは、原子力発電所の使用済み核燃料を再処理することで生じる。2015年末の時点で前年比で約0.1トン増えた。

 約47.9トンの内訳は、国内保管分が前年比同量の約10.8トン。海外保管分が約0.1トン増の約37.1トン。海外保管分のさらに内訳は、再処理委託した英国が約20.9トン、同フランスが約16.2トン。

 内閣府は「参考情報」として16年に入ってからの保有量変化について、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマルが一時再開されたため約904キロ消費され、米国に研究用プルトニウム331キロが返還された、とした。

 プルトニウムは核兵器に転用可能な核物質。このため核拡散防止の観点から日本政府は「余剰プルトニウムは保有しない」と国際公約している。青森県六ケ所村の再処理工場は完成時期が再三延期されて本格稼働の明確なめどがたっていない。一方、高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県)は相次ぐトラブルで稼働実績がほとんどないまま現在停止状態。その上、プルサーマルについても対象原発の再稼働が遅れていることなどからプルトニウムの国内消費は進んでいない。

 2011年3月の東京電力福島第1原発事故の以前は、政府と電力業界は15年度までに16〜18基の原発にプルサーマルを導入して保有プルトニウムを年間5トン前後減らす計画だった。

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