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科学技術白書が研究不正対応特集

2015.06.17

 6日閣議決定された科学技術白書は、STAP細胞論文など相次ぐ研究不正に対する取り組みを特集した。2012年に発覚したノバルティスファーマ社製高血圧症治療薬の臨床研究に関わる研究不正を含め、文部科学省が把握しているだけで14年度中に少なくとも13件の研究不正行為があったことを明らかにしている。特に理化学研究所のSTAP細胞論文と、ノ社製高血圧症治療薬の臨床研究については、不正の概要と経緯から関係機関の対応が詳しく書かれている。

 研究不正が相次いだことに対する日本学術会議や文部科学省の取り組みにも多くの字数を費やしている。文部科学省が14年8月に策定した「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(新ガイドライン)」に、個々の研究者の自己規律と責任を重視する従来の基本的考え方に加え、研究機関が責任を持って不正行為の防止に関わることが盛り込まれたことを強調している。

 一方、文部科学省は日本学術会議に対して14年7月に「研究倫理教育に関する参照基準」など6項目について審議を依頼している。今年3月、日本学術会議は、各大学が研究不正に対応するため設けるべき規程のモデルを示したほか、研究者がその行動を自ら律すための研究倫理教育を各研究機関が責任を持って行う必要などを盛り込んだ回答を文部科学省に返している。

 同省は、日本学術会議の回答や新ガイドラインに基づき、研究資金の配分機関である日本学術振興会、科学技術振興機構、日本医療研究開発機構が連携した「研究公正推進事業」を今年度から始めた。この事業は、研究倫理教育に関する標準的なプログラムを作成し、競争的資金などによって行われる研究活動に関わる全研究者に対する研究倫理教育を支援する。

 白書はまた、科学技術イノベーション政策の重要性とともに、研究者、政府、産業界を含めた科学技術イノベーショ ンに携わる者全体が「責任ある研究・イノベーション」に向けて、社会との対話や協働に取り組んでいく必要を強調している。

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