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未承認の再生・細胞医療に警鐘 日本再生医療学会が声明

掲載日:2011年2月2日

日本再生医療学会は2日、患者の安全性を無視した「未承認の再生・細胞医療」が国内で行われていることに警鐘を鳴らす声明を発表した。

岡野 光夫理事長、岡野 栄之・生命倫理委員会 委員長 の連名による声明は、患者・患者家族に「未承認の再生・細胞医療をうたう診療を安易に受けず、その医療機関が治療に関して公的機関から承認されているか、臨床研究や治験の承認などを受けていることを確認する」よう求めている。

また、行政に対しても「日本医療の信頼を根幹から揺るがすような未承認の再生・細胞医療に対して医療法、薬事法の改正など適切な新しい医療提供体制を構築して、患者(国民)の安全性を早急に確保する」ことを求めた。

再生医療については、山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所長によるiPS(人工多能性幹)細胞の作製を機に国内外で期待が急激に高まっている。日本再生医療学会はこれまで、ヒトES(胚性幹)細胞研究指針の規制緩和を求める運動を展開するなどiPS細胞を初めとする研究成果を再生医療につなげる環境整備に熱心に取り組んできた。

声明は「昨年『ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針』の改正が行われ、ES細胞、iPS細胞などの新たなヒト幹細胞が対象となり、幅広いヒト幹細胞の臨床研究の実施が制度上は可能となった」ことを評価する一方、「指針の遵守や薬事法に基づく治験などの申請といった安全性の確保などのための正規の手続きを経ず、幹細胞の輸注、投与、移植など、再生・細胞医療と称する行為が行われている実態がある。また、不適切な幹細胞治療の結果、種々の医療事故などが発生している」という現実を明らかにしている。

さらに、「難治性疾患などの有効な治療法の期待が大きいものと同時にまだまだ安全性を含むいろいろな課題を持っている」というヒト幹細胞を用いた医療の現状を示し、学会員に対しても「患者の安全性の確保と早期の再生医療の適正な実用化のために各種法令、通知、告示、ガイドラインなどを遵守し、未認可の幹細胞を用いた医療行為に関与しない」ことを求めた。

再生・細胞医療に対する国民の期待を反映し、今年度から始まった政府の「最先端研究開発支援プログラム」でも山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所長を中心研究者とする「iPS細胞再生医療応用プロジェクト」に50億円の研究費が投じられることが決まっている。また声明を発表した岡野光夫・日本再生医療学会理事長(東京女子医科大学先端生命医科学研究所長)が中心研究者となっている「再生医療産業化に向けたシステムインテグレーション - 臓器ファクトリーの創生」にも、33億8,000万円の研究費がついている。

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