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10年後も食料需給逼迫、価格上昇傾向続く

2010.02.04

 10年後を見通した世界の食糧需給は、穀物などの需給が逼迫(ひっぱく)した状態が変わらず、食料価格も高い水準で上昇傾向が続くことが、農林水産政策研究所の予測で明らかになった。

 人口の増加、所得水準の向上によるアジア、アフリカなどの食料・飼料需要増に加え、バイオ燃料の原料となる農産物需要の拡大が主要因となっている。

 予測対象となった主要品目別の価格予測によると2019年の名目価格が2007年に比べ最も高い増加率を示すのはバター(80%)で、食用油(63%)、脱脂粉乳(57%)、トウモロコシ(46%)と続く。

 生産、消費量でみると、トウモロコシを使用したバイオエタノール需要の増大で米国の国内消費量が大きく伸び、その分、米国の2019年の輸出量は2007年を下回る見通しとなった。現在、純輸出国の中国が2019年には純輸入国になるのも目を引く。

 植物油は、アジア、中東、アフリカで消費量が生産量の伸びを上回り、特に中国の純輸入量の大幅な伸びが目立っている。中国は、牛肉、豚肉についても純輸出国から純輸入国になり、鶏肉の輸入量も増える。

 農林水産政策研究所の予測は、国連、世界銀行、国際通貨基金(IMF)による人口、実質GDP(国内総生産)、実質経済成長率の予測値を用い、作物については現状の単位面積あたり収穫率の伸びが続き、また、各国のバイオエタノールに対する支援政策が続くという前提で試算された。

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