レビュー

編集だよりー 2011年9月1日編集だより

2011.09.01

 8月30、31の両日、二度目の夏休みを取り、通信社時代の仲間十数人と軽井沢でテニスを楽しんだ。ラケットを握るのは半年ぶりか、というほど運動不足、アルコールの摂取量だけは人一倍という日々を送っている身である。ペアを組む相手の足を引っ張ってばかりでは申し訳ないし、妙に頑張って体をひねるかして脇腹でも痛くなったりするのもかなわない。とにかく無理せず、ボールをきちんと相手のコートに返すことだけを心がけよう。実に消極的な姿勢でのぞんだら、何と初日は負けなし、2日目も1度、逆転負けを喫するだけという結果である。こんな好成績はひょっとして大昔あったかもしれないが、覚えがない。ペアと対戦相手に恵まれたとはいえ、いつものテニスがいかに空回りばかりだったか、と思い知る。

 早い話、編集者程度の腕では、ここで決めてやろうなどと思うと、大体はろくなことにならない。今回も実は、いつもの癖が出たケースが何度かあった。高いバウンドのボールが返ってきたので、格好良く上からたたいて決めようとしてあえなくネットに。このケースが3度くらい。レシーブをまともに返さずネット際の相手の脇を抜こうとして、思い通りに決まったのも1本だけ。狙いが過ぎてサイドラインを割ってしまうのが2、3度あり、ネットに引っかけたのが一度、さらに難なくボレーを決められたのも1度あった。要するにへたはこういうプレーを最初からやらない方がましということだ。それでこの好成績ということは、いつもはミスに終わるプレーが数限りなくあるということにほかならない。

 編集者に限らず多くのスポーツ好きによく見られる特徴は、自分ではできもしないのに、他人のプレーについてあれこれ批評するのを恥としないことではないだろうか。相手が一流の選手だろうと、自分と同レベルの愛好家でも同じだ。同じスポーツなのに自分がやる場合と、他人がやる場合を都合よく分けてしまうのだから、考えてみればこれほど勝手なこともない。一流の選手はより高いレベルを目指して限界を何度も突破しないことには世界で戦えないのだ。他方は、よいプレーをしようと思えば思うほどミスの数も増える、というのにである。

 東日本大震災の被災地では、まだまだ苦難の日々を送らなければならない人々がたくさんいる。夏の終わりに悟ったことが、頑張らない方が好成績を挙げられる、というのも何かむなしい。趣味の話とはいえ。

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