トムソンサイエンティフィックが、重要な論文がどれだけ引用されているかから算出した日本の研究機関のランキングを公表した(4月15日ニュース「重要論文被引用数世界のトップ200に日本の11機関」参照)。
このランキングは毎年、発表されている。トムソンサイエンティフィックは「ここ数年の傾向として、全体的に論文数、被引用数ともに漸増傾向で、日本のトップ研究機関の学術発信はより活発化している」と評価している。
ことしのトップ20に入った研究機関は、昨年と全く同じ顔ぶれとなっており、順位の入れ替わりも科学技術振興機構(6位から5位)、理化学研究所(9位から8位)、東京医科歯科大学(20位から19位)がそれぞれすぐ上だった大学を追い越しただけだった。世界でのランクは「日本順位で上位を占める研究機関の多くは、昨年の国内順位を守りつつ、世界順位でも上昇の傾向がみられる一方、国内順位を維持している研究機関であっても、世界順位が下降している機関も見られる」という結果になった。
このランキングの特徴は、被引用数が多い順になっており、当然のことながら研究者を多く抱える大きな大学、研究機関が最初から有利になっていること。当然、トムソンサイエンティフィックも承知の上で、「下部組織名称や旧組織名により表れたデータをとりまとめてランキングに反映することによって、研究機関はその研究成果をより高くアピールすることができる」とコメントしている。
こうした典型例として挙げられているのが、傘下の研究機関を「Max Planck Society」、「Chinese Academy ob Science」という名称で一まとめにしているドイツのマックス・プランク研究所と中国科学院。マックス・プランク研究所は、今回併せて公表された「化学」「物理学」の分野ごとランキングで昨年に続き世界1位、中国科学院も「材料科学」分野で昨年に続き世界1位となっている。しかし、これらはこうした理由によるもので、2004年まで「材料科学」、「物理学」分野でそれぞれ世界1位にランクされていた東北大学(ことしは「材料科学」で世界3位)や東京大学(同「物理学」で2位)の研究活動が低下したと見る必要はない、とトムソンサイエンティフィックは言っている。
一方、被引用数の総数で国内上位20位にランクされた各研究機関について、平均被引用数の数値も併記されている。仮にこれで上位20位をランク付けし直したとすると、1位、科学技術振興機構(平均被引用数16.55)、2位、理化学研究所(14.42)、3位、自然科学研究機構(13.30)、4位、東京医科歯科大学(12.94)、5位、東京大学(12.81)と順位はだいぶ入れ替わることがわかる。