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論文被引用数から見た日本の研究機関ランキング

2007.04.11

 米国の科学技術情報提供会社「トムソンサイエンティフィック」が、論文の引用件数から見た日本の研究機関のランク付けを9日、公表した。

 同社は、世界各地の主要な学術誌に掲載された論文のデータベースを保有している。それぞれの論文中に引用文献として掲げられている論文についてもデータを持っており、それらを分析することによって、特定の研究機関や研究者が発表した論文が、他にどのように引用されたかを割り出すことができる。

 今回、発表されたのは、1996〜2006年の11年間にわたる日本の各研究機関の被論文引用数ランキングトップ20。

 それによると論文が引用された件数で、日本のトップは、東京大学だった(世界では13位)。11年間で約68,000の論文が、トムソンサイエンティフィック社のデータベースに収録されている学術誌に掲載され、これらの論文が他の研究者の論文に引用された総数が、約849,000件に上った。

 上位、10機関は次のようになっている。( )内は、世界のランク。

 1(13)東京大学、2(30)京都大学、3(34)大阪大学、4(70)東北大学、5(99)名古屋大学、6(110)科学技術振興機構、7(119)九州大学、8(140)北海道大学、9(159)理化学研究所、10(163)東京工業大学、11(190)産業技術総合研究所、12(217)筑波大学、13(276)広島大学、14(287)自然科学研究機構、15(293)慶応義塾大学、16(295)千葉大学、17(338)神戸大学、18(349)岡山大学、19(369)熊本大学、20(370)東京医科歯科大学

 トムソンサイエンティフィック社の研究機関ランキングは、論文の著者が記載した所属機関名に基づいて引用データを処理している。このため、下部組織や旧組織のデータも一つの研究機関の発表論文としてとりまとめると、ランキングが上がることになる。同社は「こうした客観データを組織戦略に活用している研究機関は少なくない」として、ドイツのマックス・プランク研究所や、中国科学院の例を挙げている。

 同社は、総合ランキングのほかに、日本の研究レベルが高い材料科学、物理学、化学、生物学・生化学の部門別ランキングも公表した。

 マックス・プランク研究所、中国科学院が、傘下に擁する研究機関を一つにとりまとめ「Max Planck Society」、「Chinese Academy of Sciences」という名称のもとに論文を集約した結果、マックス・プランク研究所は、部門別のランキングを見ると化学、物理の両部門で1位に、中国科学院は、材料科学分野で1位にランクされた。

 このあおりを食って、化学分野では昨年世界3位にランクされていた京都大学が4位に、また材料科学分野で2位だった東北大学が3位にそれぞれ順位を落としている。しかし、これらはマックス・プランク研究所や中国科学院がデータの扱いを変えたことによるもので、京都大学、東北大学の実績が低下したと見るべきではない、とトムソンサイエンティフィック社は、コメントしている。

 同社のランキングは、もともと、大勢の研究者を抱える研究機関が、上位にランクされやすい性格を持っていると思われる。論文の引用件数の数で、順位づけているためだ。ちなみに、どれだけの論文を出して、どれだけ引用されたかで比較するとどうなるか。同社のランキングに付記された論文平均被引用数で、日本の研究機関トップ20をランク付けし直してみると次のようになる。( )内が、平均被引用数=一つの論文が平均何回引用されたかを示す数。(注:このランキングは、当サイト編集部がトムソンサイエンティフィック社の発表データを基に作成)

 1(15.32)科学技術振興機構、2(13.67)理化学研究所、3(12.65)自然科学研究機構、4(12.51)東京医科歯科大学、5(12.41)東京大学、6(12.28)大阪大学、7(11.91)京都大学、8(11.85)熊本大学、9(10.28)名古屋大学、10(9.85)千葉大学…以下略。

 論文の平均被引用数で見る限り、医学・生物系の論文が少ない機関が、上位にランクされにくいようにも見える。

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