日経新聞朝刊の文化面に、古川純一さんという登山家の「山の地名 足で解読」という署名記事が載っていた。
その中に山形県と秋田県の県境にそびえる鳥海山の名前のいわれについて、著者の新解釈が載っている。
鳥海山のふもと、秋田県象潟町(隣接する2町と合併し、昨年から「にかほ市」)は、昔は、平均水深が1.8メートルの浅い汽水湖だった。多数の水鳥が越冬していたので、汽水湖はまさに「鳥海」で、だから山の名前も「鳥海山」となった、という主張だ。
ちなみに象潟は、1804年の大地震で土地が隆起し、汽水湖がなくなってしまった。
この記事は、読み過ごせない。1月前まで、象潟には何の縁もなかったが、いまや、横山忠長にかほ市長(前象潟町長)から、「にかほ大使」を委嘱されている身だからである(11月26日編集だより参照)。
半月前に浅草で飲み歩いたばかりの横山昭・にかほ市助役に電話で感想を聞いてみた。
「いろいろ説がありましてね。鳥見山というのが、ほかの地域にあり、鳥海も鳥見が変じたという説もあります。山形の人たちは、秋田は鳥海山の裏側と思っていますから、山の名前の由来が象潟に、といわれても承知しないでしょうし」
他の地域の人が、いかように解釈するのも自由だが、地元では簡単に決着がつく話ではない、ということのようだ。