レビュー

ディーゼル乗用車日本でも見直しか

2007.08.07

 日産自動車とホンダが、クリーンディーゼル乗用車を国内で発売すると発表し、各紙が7日朝刊経済、企業面で一斉に伝えている。

 日産自動車は、ルノーと共同開発したM9Rエンジンに、独自の技術を盛り込んだクリーンディーゼルエンジンをSUV(スポーツ用多目的車)「エクストレイル」に搭載し、2008年秋に国内で売り出す。同社はこのクリーンディーゼルエンジンを、日本の新しい排出ガス規制(09年中に導入予定)レベルを目指して開発中としており、「新排出ガス規制に対応する初のディーゼル乗用車となる」(読売新聞)とみられる。

 一方、「ホンダは10年に日本で導入予定の高級車ブランド『アキュラ』にもクリーンディーゼル車を設定する計画。量販車は09年までに日米で発売する」(日経新聞)。

 「ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べて燃費効率が高く、二酸化炭素の排出が少ない半面、排ガスに含まれる窒素酸化物の処理が課題」(毎日新聞)とされている。「同じクラスのガソリン車に比べ20万円程度高い価格」(日経)という問題もある。

 日本ではマイナスイメージが先行し、「かつて窒素酸化物(NOx)などの有害物質の排出や騒音などが問題視され、各社は国内販売から相次いで撤退した」(日経)という経緯がある。米国も似たような状況のようで、「自動車購入者の間では、排ガスをまき散らすトレーラートラックのイメージが強いディーゼル車よりも、ガソリンと電気モーターを併用したハイブリッド車への関心の方がずっと高い」(BusinessWeek日経ビジネスOnline7月13日付記事「クリーンディーゼルが米国上陸」から)という。

 これに対し、長所を重視する欧州では「ディーゼル車は自動車の環境技術の本命と目されている。…地球温暖化の原因となるCO2排出量も少ないからだ。課題だった排ガス中のNOx(窒素酸化物)やPM(粒子状物質)も技術革新で克服されつつあり、欧州の全新車販売の過半数をディーゼル車が占めている」(読売)。

 では、なぜ今、日本でディーゼル乗用車導入の機運が高まってきたのだろうか。その背景の一つとして読売の記事は「独ダイムラー・クライスラーが06年秋に日本で発売したメルセデス・ベンツEクラスのディーゼル車が好調」を挙げている。

 一方、BusinessWeek日経ビジネスOnlineの記事は、次のような解説を付けている。「これまでのところ、ドイツ勢と米国勢はハイブリッド分野のリーダーの座をトヨタ自動車とホンダに譲ってきた。メーカーにとっても消費者にとっても高くつくからだ。一方で、メルセデスやGMなどの欧米企業はこの10年間、欧州向けにクリーンディーゼル技術を開発せざるを得なかった。そうした投資効果を最大化させるために、今、米国でのディーゼル車普及に躍起になっているのだ」(読売、日経、毎日新聞の引用は東京版から)

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