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研究費不正受給に絡む論議はなお

掲載日:2006年9月4日

研究費不正受給を防ぐ具体策づくりを進めている文部科学省が、検討結果を公表し、8月31日に財務省に提出した概算要求の中に必要な経費を盛り込んだ。

研究費の管理・監査の実施基準を文部科学省が策定。ここまではよいが、これは認められないという例をあげて分かりやすく説明したハンドブックを作成し、周知する。研究機関の対応がまずいと判断される場合や、悪質であると判断される場合は、事実の公表、研究機関に対する間接経費の減額査定、機関としての申請等資格制限などの措置を行う。研究費の不正な使用に関する告発の窓口を設置、研究費の使用に関する相談に応じる。

文部科学省の対策として、以上のようなことが盛り込まれている。無論、大学など研究機関にも相応の対策を求めた上でのことである。

読売新聞の27日朝刊暮らし教育面に、京都大学長、総合科学技術会議議員などを歴任した井村裕夫氏の、次のような言葉が載っている。

「細かい複雑な規則を作ると研究に支障が出るので反対だ。それより研究費の配分の管理体制をきちっと作るのが大事」

7月下旬、都内で開かれたあるシンポジウムで、会場の参加者からパネリストの研究者たちに、厳しい言葉が飛んだ。

「研究費不正受給のようなことが起こると、すぐ配分する側に問題があると言われる。しかし、肝心の研究者からの発言がさっぱり聞かれない。どう考えるのか!」

発言者は、科学技術基本計画の策定を初め、科学技術政策に深くかかわってきた官僚である。

確かに、井村氏のように明快な発言をする研究者もいる。しかし、元総合科学技術会議議員ともなれば、研究費を出す側にいた人である。もらう側を代表する意見とは言い切れない。

日経新聞24日朝刊の経済教室面に「科学・技術立国、国民一体で」と題して村上陽一郎・国際基督教大学教授が書いている。村上教授は、現に国から研究費の支給を受けている研究者だ。

日本の研究・開発費は、国内総生産(GDP)比率で見れば世界でトップクラス。ただし、このうち政府支出は全体の20%程度という状態が長らく続き、研究・開発費の「大半を企業におんぶする状態が続いてきた」。それがこの10年間、「財政窮乏期では異例とも言うべき豊かな予算付け」があり、政府出資の比率が上がってきている。それとともに「『金は出す、その代わり結果も出せ』という空気が蔓延(まんえん)している恐れが多分にある」…。

以上のような現状認識に立った村上教授の提言は以下のようだ。

研究を「社会・経済的な利益の追求を使命とし、それを請け負うタイプ」と「社会的な使命とは直接かかわりのないことを明確にした研究」に「截然(せつぜん)と分けて考える」。そのうえで「資金の提供側、とくに中央行政は、後者の支援に特段の支援を行うべきである」。(読売、日経新聞の引用は東京版から)

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