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スマホで農作物の生育・環境関連データ監視 IoT機器販売へ

2015.10.09

 農作物の生育と環境に関するデータを収集し、スマートフォンやパソコンで簡単に農地の様子を知ることができるIoT(モノのインターネット)機器を売り出す、と日立製作所とソフトバンクグループのPSソリューションズ株式会社が7日発表した。

 「e-kakashi」(いいかかし)と名付けられた新製品は、農地に設置して大気温度・湿度、日射量、土壌内の温度、水分量などを計測する子機と、それらのデータを受信する通信モジュールを内蔵した親機から成る。収集されたデータはクラウド上で管理され、利用者は栽培時に必要となるさまざまなデータを簡単に得られるほか、収集データを栽培指導や農作業の品質管理・効率化に役立てることができる、と両社は言っている。

 2008年から各地の自治体や農協、研究機関など全国15カ所で行った野外実証で寄せられた現場の要望を取り入れ、栽培現場という過酷な環境下での安定稼働という課題も克服した、としている。

 交渉が難航したものの大筋合意した環太平洋経済連携協定(TPP)で、日本の食を支える農業にも大きな変革が迫られるとみられている。総合科学技術・イノベーション会議が主導して昨年から始まった戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)10課題の一つ「次世代農林水産業創造技術(アグリイノベーション創出)研究開発計画」にも、「ITなどの先端技術により『農作業の姿』の変革を目指す」という目的が掲げられている。

 目指しているのは、ロボット技術やICT(情報通信技術)を活用した超省力生産、高品質生産を実現する「スマート農業」、「知識・情報総合産業」と呼べる農業だ。「人工衛星やセンシングの利用によって得た詳細な土壌状況、気象情報、生体情報などを基に自動化された精密な作業管理により行い、さまざまな情報を活用して自然環境などの変化に的確に対応する」姿を描いている。

 今年3月閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」でも、日本の強みであるロボット技術やICTなどの先端技術を応用した技術開発を進めることや、「スマート農業」の実現に向けた取り組みの推進が盛り込まれている。

 農林水産省は8日、TPPの大筋合意を受け、TPP発効後に関税が撤廃される農林水産品と撤廃時期を公表した。発効後即時撤廃されるブドウなど関税撤廃の対象は、現在輸入関税がかけられている農林水産品834品のうち、約半数に及ぶ。

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