厚生労働省は14日、全国約3000の定点医療機関から3~9日の1週間に報告があったインフルエンザの感染者数は計8万4183人で、1機関当たりの平均21.82人だったと発表した。前週比は1.46倍で、地域別に見ると東北や関東の計5県で、警報レベルとされる30人を上回るなど猛威を振るっている。厚労省はまだ比較的流行程度が低い地域も含めて警戒を呼びかけている。
都道府県別で最も多かったのは宮城の47.11人で、埼玉45.78人、神奈川36.57人と続いた。東京都は29.03人で警報レベルに迫っている。29都道府県で注意報レベルとされる1機関当たり10人を超えている。一方、高知3.13人、鹿児島4.02人、鳥取4.38人は少なかったが、厚労省はこうした流行程度が低い地域も今後感染者が増える可能性があるとしている。
また、流行地域では子どもの感染も多く、休校や学年閉鎖、学級閉鎖になった小中高校は計3383校に上り、前週から1000校以上増えている。今シーズンの流行入り発表は10月3日で、昨シーズンより約1カ月早かった。流行しているのはA香港型(AH3型)が中心で、感染力が強く、幅広い年代が感染しているという。AH3型は1968年に世界的大流行(パンデミック)を起こし、その後も流行を繰り返している。

東京都感染症情報センターによると、今シーズン検出されたウイルスのほとんどはAH3型で、昨年同型に次いで多かったB型は少ない。また報告感染者数の増加と同ペースで入院患者数も急増しているという。
東京都の定点医療機関からの報告数は30人にはぎりぎり達していないが、都は保健所別の患者報告数が警報レベルにあるのは31保健所中12保健所で、これら保健所管内の人口割合は都全体の46.18%で都の警報基準を超えているとしている。

厚労省や東京都などは、感染防止のためにこまめな手洗いや消毒、着用が効果的な場面でのマスク着用、咳エチケットなどの基本的な対策のほか、特に高齢者や重症化リスクが高いと考えられる人に対してはワクチン接種も推奨している。10月1日から多くの医療機関で接種できる。
厚労省はインフルエンザの感染者が今後全国的に増えて治療薬が逼迫(ひっぱく)する可能性が高まったと判断した場合は、国が備蓄している治療薬を一時放出する方針を決めている。国や都道府県のほか製薬会社も備蓄する合計約4500万人分のうち、国が備蓄する最大1000万人分が放出対象。一部流行地域の薬局などで治療薬が不足し始めているための措置という。

関連リンク
- 厚生労働省「インフルエンザの発生状況をお知らせいたします」
- 東京都「都内のインフルエンザ、警報基準を超える」

