今年の特筆される天文現象の一つ「ふたご座流星群」のピークが15日未明に迫っている。毎年起こる流星群の一つだが、今年は月明かりの影響が全くなく、8年ぶりに観測の絶好条件となるという。天気さえ良ければ、防寒対策を整え安全やマナーに配慮し、肉眼で楽しめる天体ショーの好機をぜひ生かしたい。
国立天文台によると、今年の発生のピーク「極大」は15日午前4時頃と予想され、日本で観察する条件のよい夜中に近い。そのため、14日深夜から15日夜明け前にかけ、多く出現しそうだ。この時間帯には、13日に新月となったばかりの月が沈んでおり「大変良い条件」。空が十分に暗ければ、1時間に70個程度に達すると予想されている。実際にどの程度観察できるかは場所や気象条件、熟練度、視力などによる。
流星(流れ星)は、宇宙空間の塵(ちり)が地球の大気圏に突入して燃え尽きる際、成分が光って夜空に筋を描く現象。彗星(すいせい=ほうき星)の通り道に多くの塵が帯状に残されており、地球が毎年そこにさしかかる際に大気に飛び込んで、流星が多発する流星群が起こる。地球が塵の帯を通り、流星群が起こる時期は毎年決まっている。塵を残した天体「母天体」はふたご座流星群の場合、活動的小惑星「フェートン」だ。
活動的小惑星は小惑星に分類されるものの、彗星のように塵を活発に放出する小天体。2021年には米国の研究グループが、フェートンが放出する塵の正体はナトリウムではないかとする研究成果を公表した。日本はフェートンを探査する技術実証機「デスティニープラス」を計画している。
大小100以上の流星群のうち、特に流星が多発するものは「三大流星群」と呼ばれる。中でもふたご座流星群は、毎年ほぼ安定して多く出現するとされる。ただし極大の時刻と月明かりとの兼ね合いなどで、年により条件は変わる。
流星群は空のどこにでも現れうるが、光の筋をさかのぼって延長すると一点の「放射点」に集まる。その向こうの宇宙空間から降ってくる塵が、地上から観察すると放射状に飛び出すように見えるためだ。ふたご座流星群の放射点はふたご座付近にある。時間により、放射点の高度が高いほど流星の数が増える。
一つ一つの流星がいつ、空のどこに出るかは全く予測できない。なるべく空の開けた場所で、肉眼で観察する。シートを敷いて寝転ぶと楽だが、利用できる安全な場所であることを確かめる必要がある。
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年の瀬が近づいてきた。来年の気になる天体ショーは何といっても秋の「紫金山・アトラス彗星」であることを、一足先にお伝えしたい。今年初めに紫金山天文台(中国)が発見した彗星で、来年10月に地球に最接近する。肉眼でよく観察できるとの期待が高まっているが、彗星の見え方の予想は難しいともいわれる。
関連リンク
- 国立天文台ほしぞら情報「ふたご座流星群が極大(2023年12月)」
- 国立天文台「流星群」