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新型コロナ感染者、5類移行後に増加傾向 2回目の定点把握で判明

2023.05.26

 厚生労働省は26日、全国の定点医療機関から15~21日の1週間に報告された新型コロナウイルスの感染者数は1万7489人で、1定点当たりの平均は3.56人だったと発表した。感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ5類への移行後初の「定点把握」だった1週間前の同2.63人より増えた。同省は移行前の感染状況も検討した上で「感染者は増加傾向にある」としている。

新型コロナウイルス感染症の1定点当たり報告者(全国)推移(厚生労働省提供)
新型コロナウイルス感染症の1定点当たり報告者(全国)推移(厚生労働省提供)

 厚労省によると、都道府県別で1定点当たりの報告数が多かったのは沖縄県10.80人で、石川県6.38人、岩手県6.32人、新潟県6.11人、北海道5.44人と続く。少なかったのは島根県1.55人、徳島県1.62人、高知県1.70人など。東京都、大阪府はそれぞれ3.53人、2.37人だった。

 年齢別ではやはり1定点当たりの平均で10歳未満が一番多く0.55人。次いで50~59歳が0.42人、40~49歳0.41人、20~29歳0.40人だった。

 厚労省は国内で現在、新型コロナウイルスのオミクロン株派生型XBB.1.5の割合が増えているものの、感染性や病原性がより高い新たな変異株が流入していることを示す情報はないとしている。その一方で、ピークの規模や時期は見通せないものの新たな感染拡大期に入っている、と指摘する専門家もいる。

新型コロナウイルスのオミクロン株(従来型)の電子顕微鏡画像(国立感染症研究所提供)
新型コロナウイルスのオミクロン株(従来型)の電子顕微鏡画像(国立感染症研究所提供)

 定点把握は、全国の感染症の患者の増減を地区ごとに選んだ医療機関から報告を受けて調べる仕組みで、季節性インフルエンザでこの方法が採用されてきた。新型コロナウイルス感染症の場合は、5類移行後から「全数把握」からこの方法に変わった。全国約5000の小児科や内科の医療機関から報告を受け、月曜から日曜までの感染者数を翌週の金曜に公表している。

 全数把握に比べると、定点把握は全国的な感染動向を捉える頻度や精度が低下する。このため、感染者が増えた場合の対応が遅れる、と指摘する専門家や自治体関係者は少なくない。季節性インフルエンザの場合、1定点当たりの感染者数が10人以上で「注意報」、30人以上で「警報」を発表している。厚労省は現時点ではこうした注意報や警報を出す予定はないとしている。

 国の定点把握の制度に頼らず、独自の集計をして公表する自治体もある。例えば神奈川県川崎市では同市内の医療機関に任意に感染者数を報告してもらい、毎日集計して公表している。報告は任意だが、約150の医療機関から報告があるという。

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