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「ナイスステップな研究者2022」に精鋭10人、多彩な分野で成果

2022.12.23

 文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP、ナイステップ)は、科学技術イノベーションのさまざまな分野で活躍している研究者10人を「ナイスステップな研究者2022」に選定した。現代の課題に密接に関わる研究など多岐にわたる分野で、社会に成果を広く還元している人物を選んだという。

「ナイスステップな研究者2022」に選ばれた吉田慎哉氏の研究から。試作した「飲む体温計」と動作原理(吉田氏提供)
「ナイスステップな研究者2022」に選ばれた吉田慎哉氏の研究から。試作した「飲む体温計」と動作原理(吉田氏提供)

 活躍が期待される若手研究者を中心に、AI(人工知能)技術の人文科学への応用研究、地熱資源の基礎研究や地域との関わり、噴火による津波の発生メカニズムの解明といった分野から選ばれている。

 専門家約1700人への調査などにより、最近の活躍が注目される約250人の候補を抽出。研究実績に加え、人文・社会科学との融合などの新興・融合領域を含めた最先端の画期的な研究内容、産学連携・イノベーション、国際的な研究活動の展開などの観点から、NISTEPの所内審査を経て10人が決まった。

 ナイスステップな研究者は2005年に開始。過去に選ばれた人物には、後にノーベル賞を受賞した山中伸弥氏や天野浩氏がいる。

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 選定された研究者と研究内容は次の通り。敬称略。所属は公表の20日現在。

 大嶋泰介=Nature Architects代表取締役CEO「ユーザーが求める機能要件から必要な幾何形状を逆算して導き出す設計技術『Direct Functional Modeling(DFM)』を開発し事業化を進める」

 カラーヌワット・タリン=Google Research Brainチーム シニア・リサーチ・サイエンティスト「AIによるくずし字認識技術の開発と社会への展開」

 久保田達矢=防災科学技術研究所地震津波火山ネットワークセンター地震津波防災研究部門特別研究員「地震にとどまらない、さまざまな要因で起こる津波 沖合津波観測データと津波シミュレーションから切り拓く津波の発生と伝播のメカニズム」

 杉原加織=東京大学生産技術研究所、工学系研究科化学システム工学専攻講師「脂質を使ったバイオエンジニアリング」

 鈴木杏奈=東北大学流体科学研究所准教授「地熱資源の持続的利用と地域共創のためのデザイン 数理情報の活用からwaku×wakuへ」

 津川裕司=東京農工大学グローバルイノベーション研究院テニュアトラック准教授「代謝物の多様性とその生物学的意義を明らかにする新たなデータサイエンス研究を創出」

 中川朋美=南山大学人類学研究所博士研究員、奈良文化財研究所客員研究員「考古学から見る過去と未来 3Dデータの構築と活用」

 中原啓貴=東京工業大学工学院情報通信系准教授、Tokyo Artisan Intelligence代表取締役社長「深層学習(ディープラーニング)高速処理専用大規模集積回路(LSI)の研究開発」

 古屋晋一=ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、一般社団法人NeuroPiano代表理事「音楽演奏の技能と創造性の限界突破 総合知で取り組む文化の持続可能な発展の実現」

 吉田慎哉=芝浦工業大学工学部機械機能工学科准教授「飲み込み型(可食型)デバイスの研究開発 飲むだけで身体の調子や体内環境を測定できる未来を目指して」

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