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新型コロナの第7波が急拡大、新規感染者は過去最多10万人を超える勢い 感染力1.3倍のBA.5が要因

2022.07.14

 新型コロナウイルスの感染者が全国的に急増し、感染拡大の第7波が顕著になっている。厚生労働省によると、13日には国内の新規感染者は9万4000人以上を数えた。過去最多の約10万4000人に迫り、さらに超える勢いだ。同日開かれた厚生労働省に対策を助言する専門家組織の脇田隆字座長は、オミクロン株派生型「BA.5」の感染力は「BA.2」の約1.3倍強く、BA.5の広がりが第7波の急拡大の要因になっているとの見方を示した。同組織は「医療提供体制への影響も含めて注視する必要がある」と警告している。

オミクロン株の電子顕微鏡画像。従来型でBA.5ではないが、形状は似ているとみられる(国立感染症研究所提供)
オミクロン株の電子顕微鏡画像。従来型でBA.5ではないが、形状は似ているとみられる(国立感染症研究所提供)

 専門家組織会合に提出された厚労省資料によると、12日までの1週間に確認された全国の新規感染者数は前週比で2.14倍と急増。新規感染者数は全都道府県、全ての年代で増加し、7月に入ってから兆しが出ていた第7波が顕著で、さらに拡大傾向にある。首都圏では東京都が前週比2.37倍、神奈川県が同2.41倍。このほかでは静岡県が同2.65倍、長野県が同2.58倍など、感染者の増加は全国的傾向だ。

新規感染者数の動向。12日までの1週間で全国的に急増していることが分かる(厚生労働省提供)
新規感染者数の動向。12日までの1週間で全国的に急増していることが分かる(厚生労働省提供)

 病床使用率はまだ比較的低い水準だが、沖縄県は5割強で最も高く、次いで熊本県の5割弱、和歌山県と滋賀県が4割強と続く。多くの都道府県で高くなる傾向で、医療体制への逼迫(ひっぱく)が懸念される。

 東京都による独自の集計では、13日の新規感染者は1万6878人を数え、前日より5367人増えた。第6波のピークは2月8日で、新規感染者は1万8012人。これを超えるのは時間の問題とみられる。都の新型コロナウイルスのモニタリング会議は7日の会合で8月上旬には新規感染者は5万人を超える可能性があるとの試算を公表している。

東京都の新規感染者数のグラフ。13日は1万6878人だった(東京都提供)
東京都の新規感染者数のグラフ。13日は1万6878人だった(東京都提供)

 国立感染症研究所は専門家組織の会合で、BA.5の感染者が占める割合は現時点で8割近くに上るとの推計を示し、8月第1週には全てBA.5に置き換わるとみている。最近の感染状況について専門家組織は「多くの地域で感染者の増加幅が大きくなっており、急速に感染拡大している。今後も増加が続くことが見込まれる」と結論付けた。

 会合後に記者会見した脇田座長は今月に入ってからの感染急拡大の要因として、ワクチンの3回目接種や実際の感染で獲得された免疫が徐々に減衰していることや、急激に広がっているBA.5は感染力が強いとされたBA.2よりさらに約1.3倍強く、免疫を回避する能力があることなどを挙げた。

 後藤茂之厚労相はこの会合で「今後は多くの地域で新規感染者数の増加が続くと見込まれる。マスクの着用などの基本的な感染防止策を徹底することを心がけてほしい」と述べている。厚労省関係者によると、重症者や死亡者の数がまだ低水準で推移していることから当面政府として行動制限は求めない方針という。

 多くの専門家は、全体の感染者が著しく増えれば重症者の数も増えると指摘。3回目ワクチン接種率が50%前後の20代、30代の3回目接種と、高齢者や持病がある人の4回目接種を急ぐ必要がある、と強調している。

厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館(東京都千代田区)
厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館(東京都千代田区)

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