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オミクロン株を防ぐ抗体保有率、第6波時は3割弱 3回目接種で100%と横浜市大調査

2022.04.05

 新型コロナウイルス感染の拡大第6波に見舞われた1~2月にかけ、変異株のオミクロン株に対する中和抗体を持っている人はわずか3割弱だったことが、横浜市立大学の研究グループの調査で分かった。調査は横浜市民1000人以上を対象にし、ワクチンの3回目接種を終えた人は全員が抗体を保有していたことも判明。抗体保有率の低さが第6波の拡大を招いた可能性があり、3回目接種がオミクロン株対策として期待できることを示した形だ。

国立感染症研究所が分離したオミクロン株の電子顕微鏡画像(国立感染症研究所提供)
国立感染症研究所が分離したオミクロン株の電子顕微鏡画像(国立感染症研究所提供)

 横浜市立大学大学院データサイエンス研究科の後藤温教授、中山泉特任助教と医学研究科の梁明秀教授、宮川敬准教授らの研究グループは、1月30日から2月28日までの間、無作為に選んだ20~74歳の横浜市民1277人を対象に、新型コロナウイルスに対する中和抗体の保有率を調査した。さらに調査対象の1割の123人を無作為に選び、従来株、デルタ株、オミクロン株(BA.1)、同株亜種のBA.2に対する中和抗体保有率を調べた。

 その結果、全調査対象者の90.2%が2回目の接種を終えていたが、3回目接種を終えた人はわずか6.2%、未接種の人は3.4%で、調査期間の段階では3回目接種が遅れている実態が分かった。

 123人対象の調査では、従来株、デルタ株に対する中和抗体を保有している人はそれぞれ約87%、約74%とかなり高率だった。第6波の時に主に流行していたとされるBA.1と感染力がより高いとされるBA.2に対する保有率はいずれも約28%だった。また、3回目のワクチン接種から1週間以上経過している66人を対象にした調査では、全員がオミクロン株BA.1、 BA.2いずれに対しても中和抗体を持っていた。

横浜市民123人を対象者にした従来株や変異株に対する中和抗体保有率(横浜市立大学提供)
横浜市民123人を対象者にした従来株や変異株に対する中和抗体保有率(横浜市立大学提供)

 これらの調査結果について研究グループは、第6波が急に広がった一つの要因として、ワクチンの2回目接種から時間が経っていた上に、当時広がっていたオミクロン株に対する中和抗体保有率が3割以下だったことが挙げられるとみている。

 研究グル-プはさらに、3回目接種した66人の調査でオミクロン株に対する中和抗体の保有率が100%だったことなどから、今後も接種を進めていくことが重要とした上で「ワクチン接種は完全には感染を予防できないのでこれまでと同様、マスクの着用、手洗い、手指消毒、『3密』を避けるなどの感染予防対策が大切」と指摘している。

 厚生労働省によると、4月1日時点での3回目接種率は全人口の41.5%で、横浜市立大学による調査期間の接種率より大幅に高まっている。しかし、70代、80代以上は80%を超えているものの、20代は20%台、10代はさらに低く1桁台と低い傾向にある。

ワクチン接種回数と抗体価(SP-IgG抗体価)の関係を示すグラフ(横浜市立大学提供)
ワクチン接種回数と抗体価(SP-IgG抗体価)の関係を示すグラフ(横浜市立大学提供)

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