16日午後11時36分ごろ、福島県沖を震源とし、宮城県や福島県で最大震度6強を記録し、首都圏を含め広い範囲が揺れる地震が発生した。気象庁によると、震源の深さは推定約57キロ、マグニチュード(M)は7.4。同庁は「今後1週間程度は最大震度6強程度の地震に注意をする必要がある」としている。この大きな地震による被害は、夜が明けた17日、死者やけが人の報告が相次いでいる。首都圏などでは200万戸以上が停電。宮城県の石巻港で30センチなど、各地で津波を観測した。
気象庁によると、震度6強を観測したのは、宮城県は登米市と蔵王町、福島県は相馬、南相馬両市と国見町の5市町。揺れは首都圏から一部関西地方にも及び、東京、千葉、埼玉、神奈川の各都県でも震度4のかなり強い揺れを感じた。JR東日本などによると、東北新幹線下りのやまびこ223号が福島―白石蔵王間で脱線。17日午前9時現在、那須塩原―盛岡間の上下線で運転を見合わせている。復旧のめどは立たず、運休が長期間に及ぶ恐れもあるという。同日午後記者会見した松野博一官房長官によると、地震との関係が明確な死者は1人で、このほか関連を調査中の人が1人。100人以上のけが人が報告された。
経済産業省資源エネルギー庁によると、大規模停電は東北5県と関東などの1都8県で、一時最大約220万戸で発生した。原子力規制庁などによると、東京電力福島第1原発の2号機で使用済み核燃料プールの冷却が停止したが、その後復旧した。5号機のタービン建屋では火災報知機が作動したが異常はなかった。このほか第1原発5号機と第2原発の1号機と3号機、東北電力女川原発1号機のプールの冷却も停止し、その後復旧した。仙台市内の50代の女性は「揺れは11年前の時(東日本大震災)より大きいようにも感じた。室内も散乱し、どんな大地震が起きてまた大津波が来るのかと怖くなった」と話している。
政府の地震調査委員会は早ければ17日にも臨時会合を開催する。16日深夜の地震の震源は東日本大震災を起こしたM9の東北地方太平洋沖地震の余震域にあり、同地震との関係などが検討される。今回の地震は陸の下に沈み込む太平洋プレート内で起きたとみられる。
宮城、福島両県では昨年2月13日にも震度6強の地震が発生。関連死も含め3人が死亡、180人以上が重軽傷を負っている。政府の地震調査委員会は、今回の震源を含む青森県東方―茨城県沖の太平洋プレート内部での地震について、今後30年での発生確率を最も高いランクとし、警戒を呼び掛けていた。