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オミクロン株派生型で再び感染者増加の可能性、と厚労省専門家組織 東京では4月に66%占めると試算

2022.03.10

 厚生労働省に新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織会合が9日開かれ、「新規感染者数は全国的に減少傾向にあるが、減少のスピードは緩やか。感染力が強いとされるオミクロン株の派生型『BA.2』への置き換わりが進めば再び増加する可能性がある」などとする分析結果をまとめた。会合では「4月1日には東京のBA.2割合は66%になる」との試算データが示された。

(AMED伊藤公一班(JP20fk0108535)共同研究、北海道大学・伊藤公一教授の分析結果)(伊藤公一教授/西浦博教授/厚労省専門家組織/厚労省提供)

 専門家組織は、新規感染者の動向について「しばらくの間、高いレベルで推移していくと予想される」と分析。「10代以下の割合は増加傾向が続き依然高い水準で、高齢者施設での感染が継続している」との見方を示した。

 会合に提出された資料によると、1人の感染者が何人に感染させるかを示す最新の実効再生産数と新規感染者数の「今週先週比」はいずれも全国平均で1.0を下回っているものの、感染状況には地域差があり、下げ止まりや増加地域もある。福島、高知、佐賀、宮崎の各県では1.0以上になっている。

 年代別の分析では、10代以下の感染者の割合は全世代の34%を占めた。20代は13%で、感染者の半数近くが20代以下の若年層になっている。

 京都大学大学院医学研究科の西浦博教授は、オミクロン株派生型のBA.2割合の予測データを会合に提出した。同教授はこれまで得られたデータから、BA.2の世代時間(感染者が2次感染を起こすまでの時間)は従来のBA.1より15%短く、実効再生産数は26%高いとして計算した。すると、東京では4月1日には66%を占めるとの結果になった。

 資料に添付された北海道大学・人獣共通感染症国際共同研究所の伊藤公一教授の分析でも、BA.1とBA.2の割合は3月下旬には逆転、5月初めにはほぼBA.2に置き換わると予測している。

 このBA.2が今後の感染状況に与える影響について、専門家組織は「BA.1より世代時間は短く、実効再生産数は高いため、感染者数の増加や減少速度に影響を与える可能性がある」とした上で「動物実験ではBA.2の方が病原性が高い可能性を示すデータもあるが、重症化リスクに関する差は見られないとも報告されている」とした。

 多くの専門家は、BA.1はいずれBA.2に置き換わるとしつつ、再度の感染拡大をどの程度もたらすかは、BA.2に対しても効果が期待されるワクチンの3度目接種の進捗具合にかかっている、との見方を示している。

国立感染症研究所が分離したオミクロン株の電子顕微鏡画像(国立感染症研究所提供)

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