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プレアゴラ開催 「デジタルの日」に7企画で活発な対話

2021.10.12

 よりよい未来社会のあり方を科学者と市民が共に考える国内最大級の科学イベント「サイエンスアゴラ2021」(アゴラ)の開催を来月に控え、「プレアゴラ」が10、11日に行われた。両日が「2021年デジタルの日」となったのを受け、関連する7つの企画をオンラインで挙行。登壇者や参加者の盛んな交流がみられ、今年のアゴラが重視する活発な対話を、先んじて実現する2日間となった。

 プレアゴラは10日午前のワークショップ「未来のマーク作りで創造する2050」で口火を切った。参加者が未来社会の風景や課題を思い思いに予想し、そこで必要とされる標識などのマークを描いて発表しあった。「人と関わることの大切さを皆が考えている」「禁止より、ポジティブな行動を促すマークの方が人の心を動かす」などの意見が飛び交った。

「未来のマーク作りで創造する2050」に登壇した博報堂アイ・スタジオの河野洋輔氏と、説明時に未来のマークの例として示した「人工魚肉」(オンライン会議の画面から)
「未来のマーク作りで創造する2050」に登壇した博報堂アイ・スタジオの河野洋輔氏と、説明時に未来のマークの例として示した「人工魚肉」(オンライン会議の画面から)

 11日午後の「新しい万博の価値 サイバー万博(仮称)実施の可能性 具体的実施の方向性」では、2025年に開かれる大阪・関西万博の会場を含め、地域や言語、インターネット上のサービスやコミュニティーの壁を超えて世界中から参加できる“もう一つの万博”のあり方がテーマ。3人の論客が参加者のコメントを反映しながら議論を深めた。

 このほか、身の回りの色を使って音を生み出す独自のゲームを通じ、STEAM(科学、技術、工学、芸術、数学の分野横断)教育の可能性を考える企画▽オンライン科学実験教室の事例紹介や情報交換▽体験の価値をデジタル化、モデル化する技術の紹介と議論▽考古学と情報工学の連携を考える企画▽人の姿を本物と思えるほど巧みに映像などで再現する「ディープフェイク」技術に関する議論や体験--を含め、大学や教員、研究機関、大使館などが工夫を凝らした企画を展開した。

「新しい万博の価値 サイバー万博(仮称)実施の可能性 具体的実施の方向性」(左)と「リアルとネットを繋ごう 体験価値のデジタル化」(いずれも配信画面から)
「新しい万博の価値 サイバー万博(仮称)実施の可能性 具体的実施の方向性」(左)と「リアルとネットを繋ごう 体験価値のデジタル化」(いずれも配信画面から)

 アゴラは、科学と社会をつなぐための開かれた場を作ろうと、科学技術振興機構(JST)が2006年から毎年開催。11月3~7日に開催する今年は「Dialogue for Life(ダイアログ・フォー・ライフ、Dialogueは対話の意)」をテーマに、100件超の企画を実施する。あらゆる人々が知恵を持ち寄り、「総合知」を通じて科学技術の役割や社会の未来像を描くことを目指す。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受け、昨年に続きオンラインで開催する。

 デジタルの日は、政府が「デジタルについて振り返り、体験し、見直す機会」として、9月1日のデジタル庁発足を機に制定した記念日。コンピューターが0と1で数を表す2進法でデータを扱うことにちなみ、10月10、11日とした。祝日ではない。国や自治体、企業などが関連する企画やキャンペーンを実施した。日本科学未来館(東京都江東区)も科学コミュニケーターのトークイベントなどを館内で開いた。

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