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データ中継衛星打ち上げ成功 H2Aロケット43号機

2020.11.30

 政府のデータ中継衛星を搭載したH2Aロケット43号機が29日午後4時25分、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から打ち上げられた。約30分後、衛星の正常な分離に成功した。

データ中継衛星を搭載し打ち上げられるH2Aロケット43号機=29日午後4時25分、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センター(三菱重工業提供)
データ中継衛星を搭載し打ち上げられるH2Aロケット43号機=29日午後4時25分、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センター(三菱重工業提供)

 データ中継衛星は地球観測衛星などの観測データを受信し、地上の受信局に転送するもの。観測衛星が受信局の上空にない時にもデータを仲介することで受信局が即時的に、高速でデータを受信できるようにする。安全保障や国土管理、防災のため、政府の迅速な対応に役立つと期待されている。

 1基の衛星にJAXAの「光データ中継衛星」と内閣衛星情報センターの「データ中継衛星1号機」の2つの機能を搭載した。赤道上空に投入される静止衛星だが経度は非公表。同センターが衛星本体を運用する。

 JAXAの機能は2017年に運用を終えた中継衛星「こだま」の後継機で、新たに光技術を採用することで通信速度が7倍以上の毎秒1.8ギガビットに高速化。来年度以降に打ち上げる先進光学衛星「だいち3号」、先進レーダー衛星「だいち4号」に適用して大容量データ転送に貢献する。一方、同センターの機能は電波によるもので、情報収集衛星のうち2月に打ち上げた光学7号機以降、今後導入する衛星に利用する。

「光データ中継衛星」機能のイメージ(JAXA提供)

 打ち上げ後にオンラインで会見したJAXAの山川宏理事長は「ミッション実現に向け一歩目が踏み出せ安堵している。社会の多様なニーズに応えるため、気を引き締めて運用に当たる」。同センターの宮川正所長は「わが国の情報収集能力がより強固になるよう全力を尽くす」と述べた。

 H2Aは打ち上げ成功率97.67%、強化型のH2Bと合わせ46機連続成功となった。今年度の政府の基幹ロケット打ち上げはこれで終了。打ち上げを実施した三菱重工業の阿部直彦執行役員防衛・宇宙セグメント長は「今後も安定した打ち上げを提供できるよう、細心の注意と最大限の努力を傾注していく」とした。

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