日本物理学会はこのほど、優れた研究業績を上げた女性の物理学研究者を表彰するために新たに創設した「第1回日本物理学会・米沢富美子記念賞」に、名古屋大学の川口由紀准教授ら5人を選んだ。授賞式は3月18日に名古屋市の名古屋大学で行われ、賞状、盾のほか、副賞として物理学会誌への掲載料など20万円相当が免除される。
受賞が決まった5人は、名古屋大学大学院工学研究科応用物理学専攻の川口准教授のほか、筑波大学数理物質系の所裕子教授、東京大学理学系研究科・物理学専攻の馬場彩准教授、武蔵野美術大学造形学部教養文化・学芸員課程研究室の宮原ひろ子准教授、東京大学大学院総合文化研究科の柳澤実穂准教授。
5人の授賞対象業績は以下の通り。
川口さん:「内部自由度を持った原子気体ボース・アインシュタイン凝縮体の理論研究」
所さん:「相転移特性にもとづく新機能物性の開拓」
馬場さん:「X線・ガンマ線観測による高エネルギー宇宙線の起源とその加速機構の解明」
宮原さん:「太陽活動極小期における宇宙線強度変動の研究および過去の宇宙線変動復元のための新手法開拓」
柳沢さん:「細胞の構造と機能の物理学:実空間モデリング」
(受賞者の写真はいずれも日本物理学会提供)
米沢富美子さんは、女性初の日本物理学会長を務め、「女性科学者に明るい未来をの会」の会長としても尽力するなど、日本の女性科学者の草分け的存在だった。昨年1月に80歳で亡くなった。日本物理学会は米沢さんの偉業を記念し、女性の物理研究者の業績を表彰し、さらなる研究成果を奨励することを目的に米沢さんの名前を付けた賞を創設した。同学会の会員は約1万6千人で、うち約千人が女性研究者。来年以降も毎年、最大5人が同賞に選ばれるという。
関連リンク
- 日本物理学会プレスリリース「第1回(2020 年)日本物理学会 米沢富美子記念賞の受賞者発表」