今月28、29日に大阪市で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20)で主要議題となるプラスチックごみ(プラごみ)問題を重視し、新たな章を設けて詳述した今年の環境白書が公表された。政府が7日に閣議決定した。白書の正式名称は「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」で、海に流出するプラごみについて「途上国を含む世界全体の課題として対処する必要がある」などと強調している。
今年の環境白書は第1部、第2部の2部構成。「本編」と言える第1部の第3章は「プラスチックを取り巻く状況とプラスチック資源循環体制の構築に向けて」と題して、世界的に大きな問題になっているプラごみ問題を大きく取り上げた。
この中でまず、海に流されたプラごみが紫外線や波の力で小さく砕けたマイクロプラスチックの問題を取り上げ、「近年マイクロプラスチックによる海洋生態系への影響が懸念されており、世界的な課題となっている」とした。
その上で「1950年代以降生産されたプラスチック類は83億トン超で、63億トンがごみとして廃棄された」「毎年約800万トンのプラスチックごみが海洋に流出している」「2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超える」などといった試算や推計を紹介。問題の深刻さを強調している。そして、「削減(リデュース)」「再使用(リユース)」「繰り返し使う(リサイクル)」の英語の頭文字をとって「3R」と表現し、「プラスチックの資源循環体制構築のため、プラスチックの3Rを一層推進することが不可欠」と指摘している。
このほか、2008年4月からレジ袋の無料配布を廃止、携帯用マイバッグを配って現在では買い物客の95%がマイバッグを持参しているという富山県や、木製・紙製のストローやホタテの貝殻を活用した箸を開発した企業などの好事例を紹介している。
白書はプラごみ問題のほか、第2章「気候変動影響への適応」では国内外で異常気象が頻発していることを具体的なデータを挙げて指摘。気候変動防止のための対策と同時に気候変動が起きてしまった場合に備えた地域の適応策の重要性を強調している。
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