科学と社会について語り合う国内最大級の科学フォーラム「サイエンスアゴラ2018」(科学技術振興機構主催)が11月9〜11日、東京・お台場地区の日本科学未来館とテレコムセンタービルで開かれた。13回目となる今回は、「越境する」をテーマとする講演や展示ブースなど120企画に、出展者や講演者などを含め約4000人が参加した。
日本科学未来館で9日に行われた基調講演「あらゆる制限を超えて75億人をつなぐ挑戦」では、多様な人が協力して従来にない発想、価値を生みだす「越境」の実例として、ANAホールディングスの取り組みが紹介された。ANAホールディングスのデジタル・デザイン・ラボでは、人や荷物を運ぶ航空会社でありながら、目的地へ移動することなく、そこへ行った感覚をリアルに実現できる「アバター」の研究開発を進めている。たとえば、孫の結婚式会場にアバターロボットを設置しておき、遠くの施設にいるおばあちゃんが、あたかも結婚式に出席したかのような現実感で孫の結婚を祝える。深堀昂(ふかぼり あきら)アバター・プログラム・ディレクターは、「個々のテクノロジーをどのように集めて『アバター』にすればよいのか。私たちにとってよいところを選んで集め、アバターはなんとなく怖いという印象を越えていく必要がある」と話した。
9日午後のキーノートセッション「SDGs達成の先に何を見るか」には、世界経済フォーラムのケイ・ファース・バターフィールド・AI・機械学習プロジェクト長ら8人が登壇。バターフィールドさんは、「AI(人工知能)に強いのは米国と中国。2国に従うだけにならないためにも、世界のAI科学者が情報を共有し、科学者をしっかり教育することが大切だ」と指摘。米スタンフォード大学のマーサ・ラッセル・エグゼクティブディレクターは「社会を作るのは人間だ。AIのような『技術』に作らせてはいけない」と訴えた。
10、11日は会場をテレコムセンタービルに移し、高校生、大学生らが科学と社会の関係について来場者とともに考える展示やミニワークショップなど117企画が実施された。
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