温室効果ガスを観測する衛星「いぶき2号」を載せたH2Aロケット40号機が29日午後1時8分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。打ち上げを担った宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業によると、衛星は予定軌道に投入されて打ち上げは成功した。
「いぶき2号」はJAXAと環境省、国立環境研究所が共同開発した。太陽電池パネルを開くと最大幅は約16.5メートル、重さは1.8トン。2009年1月に打ち上げられた「いぶき」の後継衛星で「いぶき」より高性能の観測センサーを搭載している。二酸化炭素(CO2)やメタンのほか、やはり温室効果がある一酸化炭素を新たに観測する。CO2の測定では「いぶき」の8倍の精度を誇るという。高度613キロの軌道を回りながら地球の全域の温室効果ガスを観測するほか、健康への悪影響が指摘されている微粒子状物質「PM2.5」の濃度も推定して日本への飛来状況を監視する。
地球温暖化防止の国際的枠組み「パリ協定」は、産業革命前と比較して気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指している。各国は温室効果ガスの排出量を報告する義務があるが、「いぶき2号」は排出量を正確に観測することができるため、排出量削減の国際的な取り組みに貢献すると期待されている。
国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のエネルギー消費による2017年のCO2排出量は前年と比べて1.4%増えて325億トンに達した。14〜16年は横ばい状態だったが一転増加に転じた。IEAは、地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」の目標を達成するためには現状の取り組みは不十分、としている。
H2Aロケット40号機には、「いぶき2号」のほか、東北大学や大阪工業大学、九州工業大学、静岡大学、愛知工科大学が開発した小型衛星やアラブ首長国連邦(UAE)が初めて自力で開発した陸域観測衛星も搭載されていた。