数学と物理学、天文学の3研究分野が連携して宇宙の謎の解明に挑む東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU、千葉県柏市)の機構長が初代の米カリフォルニア大学バークレー校教授・村山斉(むらやま ひとし)氏から米カリフォルニア工科大学教授・大栗博司(おおぐり ひろし)氏に交代した。同機構が15日発表した。
大栗氏は1962年、岐阜市生まれ。84年京都大学理学部卒、同大学大学院修士課程修了後、89年に東京大学から理学博士号を授与される。京都大学数理解析研究所助教授、米カリフォルニア大学バークレー校教授などを歴任し、2000年からカリフォルニア工科大学の教授。07年からカブリ数物連携宇宙研究機構主任研究者も務める。素粒子を点ではなく、ひも状とみる「超弦理論」の研究で世界的に知られる。超弦理論は、原子のような小さな世界の現象を説明する量子力学の法則と、宇宙のような大きな世界を説明するアインシュタインの重力理論を結びつける理論として提案されている。
カブリ数物連携宇宙研究機構は文部科学省の「世界トップレベル国際研究拠点形成促進プログラム (WPI)」 に採択されて2007年に設立。「宇宙はどうやって始まったのか、その運命は何か、何で出来ているのか、どういう法則に支配されていて、なぜ我々は存在するのか」という人類が問い続けてきた宇宙の最も根本的な謎を解明することを目指している。12年には宇宙物理などの研究を支援する米国カブリ財団から寄付を受け、現在の名称になった。
村山氏はカリフォルニア大学バークレー校教授としての研究、教育業務を続けながら、同機構の初代機構長として設立後11年以上、研究業務のほか、機構が推進する研究分野の認知度向上のために積極的に国内外での講演活動活動などもこなしてきた。
関連リンク
- 東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構プレスリリース「Kavli IPMU 設立11年目を経て、機構長のバトンは村山斉初代機構長から大栗博司新機構長へ」
- 東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構プレスリリース「大栗博司主任研究者がハンブルク賞を受賞」