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スマホ録音で簡単に睡眠パターンを可視化 障害の早期発見も可能に

2017.03.28

 スマートフォン(スマホ)などの端末で録音した睡眠中の音から個人の睡眠パターンを可視化する技術を大阪大学の研究グループがこのほど開発した。この技術を活用したアプリケーション(アプリ)を開発することにより手軽に睡眠を自己管理できて睡眠障害の早期発見も可能になるという。

 ストレス社会と呼ばれる中で不眠症に悩む人は多く、不眠症のほか身体影響などさまざまな症状を含めた睡眠障害はいまや「国民病」とも言われる。2014年の「国民健康・栄養調査」によると約5人に1人が睡眠で休養が十分取れていない、としており、睡眠導入剤を服用している人も多い。こうした状況の中でこれまで専門的な施設や病院でしか調べられなかった「睡眠の質」を手軽に計測できる技術の開発が求められていた。

 大阪大学産業科学研究所の福井健一(ふくい けんいち)准教授と同大学歯学研究科の加藤隆史(かとう たかふみ)教授らの研究グループは、睡眠時に生じるさまざまな音(睡眠環境音)から、いびきや歯ぎしり、体動に伴う音といった「睡眠関連音」だけを識別、抽出して睡眠パターンを2次元平面に可視化する技術を開発した。技術開発では、人間が自然に行う学習機能をコンピューターでも実現しようとする「機械学習」と呼ばれる技術の複数の手法を組み合わせたという。

 研究グループが10人の被験者を対象にこの技術の信頼性を確かめる実験をしたところ、新技術により可視化された睡眠パターンは、睡眠障害の診断などに現在使われている「睡眠ポリソムノグラフィ(PSG)検査」の結果と高い関連性が示されたという。

 研究グループは、この技術を活用したアプリを今後開発することにより、自分の睡眠パターンを手軽に把握して睡眠障害を早期発見したり個人の睡眠パターンに応じて夜間の環境を改善することも可能になる、としている。

 研究は科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」の一環として行われた。

図 大阪大学の研究グループが開発した簡単に録音して睡眠パターンを可視化する技術の概念図(作成・提供:大阪大学研究グループ/JST)
図 大阪大学の研究グループが開発した簡単に録音して睡眠パターンを可視化する技術の概念図(作成・提供:大阪大学研究グループ/JST)

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