子どもの成長や発達、生活習慣の実態を明らかにすることを目的にスマートフォンのアプリケーション(アプリ)を活用した大規模解析研究を国立生育医療研究センターが開始した。1億件以上のビッグデータを解析して睡眠時間と身長の伸びなどの関係を探る世界に前例がない試みという。同センターが1月31日発表した。
国立生育医療研究センター分子内分泌研究部基礎内分泌研究室とITベンチャー企業ファーストアセント社などの共同研究グループは、独自に開発したアプリ「パパっと育児@赤ちゃん手帳」を活用。これまで同アプリを使った17万人以上の親による子どもの睡眠時間や排せつ回数、身長や体重などの膨大なデータを分析する。さらに同意が得られた1億件以上の子どもの生活記録のビッグデータから特定の条件に基づいた統計データを抽出して大規模解析する。
「パパっと育児@赤ちゃん手帳」は誰でも無料で使用可能。ユーザーは睡眠、食事、排せつ、といった子どもの日々の生活の変化を育児メモとして記録できるという。
共同研究グループの試みは多数の親に参加してもらう「市民参加型」の研究。子どもの成長や発達、生活習慣に関する個人差のほか、「日によって異なるか」といった日々の「経時的変化」の実態を明らかにして親の育児不安の解消や病気の早期発見に役立てることが目的。独自のアプリを使うことによりこれまでの調査研究ではできなかった大規模データを収集できるという。
研究グループは、例えば「寝る子は育つ、は本当か」「母乳と人工乳ではどちらがよく眠るか」といった親が気になる、子どもの成長や発達に関する正確な実態を明らかにし科学的データに基づく情報を提供したい、としている。研究成果は今秋にも発表される予定。

関連リンク
- 国立生育医療研究センタープレスリリース「スマートフォンアプリを使った子どもの成長・発達・生活習慣についてのビッグデータ解析研究」