ばんそうこうのように貼って心拍や皮膚温度などの健康状態を簡単に計測できるセンサー内蔵型シート(ウェアラブルデバイス)の原型を大阪府立大学の研究グループが開発した。フィルム上にセンサーを印刷して生産できるのが最大の特長で、研究成果はこのほど米科学誌電子版に掲載された。
大阪府立大学大学院工学研究科の竹井邦晴(たけい くにはる)助教らのグループは、カーボンナノチューブやナノ粒子などを応用した特殊な印刷技術を開発。この技術を使って柔らかく薄いプラスチックフィルム上に、皮膚温度や心拍、紫外線量を計測し、活動量(体を動かした量)も感知できる薄いセンサーやこれらのセンサーをコントロールする薄いトランジスタを印刷することに成功した。手に取れる大きさの薄いウェアラブルデバイスを胸などに貼り付けて常時健康状態をチェックする仕組みだ。
今回開発されたのは原型で電源にコード接続する必要があるが、今後の研究の進展により、小型電源や無線回路、多くのセンサーなどを付着できる高度でかつ安価なウェアラブルデバイスの開発も可能とみられる。研究グループによると、この印刷技術は世界初で、早期に体調不良を見つけることができる健康管理ツールとして実用化できれば将来、医療費削減や高齢者の孤独死防止、医師・看護師の負担軽減に寄与できる可能性があるという。
関連リンク
- 大阪府立大学プレスリリース「絆創膏のように柔らかい添付型ウェアラブルデバイスの誕生」