台風進路予想などで活躍している静止気象衛星ひまわり8号と同型でバックアップ機となるひまわり9号が2日午後3時20分、鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケット31号機で打ち上げられた。当初は1日に打ち上げる予定だったが、悪天候が予想されたため延期していた。
気象庁、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などによると、ひまわり8号は2014年10月に打ち上げられ、昨年7月から7号の後継機として運用されている。9号は8号と同型で太陽電池パネルを展開すると全長約8メートル、重量は約1.3トン。この日の打ち上げ後は、エンジンからガスを噴射して約1週間後に観測ポイントである赤道上空約3万6千キロの静止軌道に到達する。到達後は「スラスタ」と呼ばれる12の小エンジンで姿勢を微調整する。姿勢が確定したら約3カ月かけて機器類を点検。その後は8号に異常が生じる事態に備えバックアップ機として当面待機し、22年に8号と交代して観測を開始する予定だ。
昨年7月まで運用された7号は観測できる可視域の波長帯が1種類だったが、8号から波長帯が3種類になり、送信画像もモノクロからカラーになり、解像度も2倍向上した。8号は「可視赤外放射計」と呼ばれる高性能観測カメラを搭載し、日本を含むアジア・太平洋地域の気象観測画像を最短で2.5分に1回地上に届けている。特にゲリラ豪雨をもたらす急速に発達した積乱雲やこれまでにない進路をとる台風の影響予想などで威力を発揮している。9号も同様の働きが期待されている。
9号は、待機期間を含めると後継機に引き継ぐまで10年以上は観測機能を維持する必要があるという。8、9号ともに三菱電機鎌倉製作所(神奈川県)で製造され、製造費用は2機で計約340億円。
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- JAXA「ひまわり9号関連サイト」