国際宇宙ステーションに約4カ月間滞在し、マウス実験や無人補給機をキャッチするなどの任務を終えた日本人宇宙飛行士の大西卓哉(おおにし たくや)さん(40)が日本時間30日昼過ぎ地球に無事帰還した。大西さんは帰還地点のカザフスタン共和国内で小休止した後同31日、妻子が待つ米国ヒューストンに移動した。
大西さんは日本時間30日午前に米国のキャスリーン・ルビンズ飛行士、ロシアのアナトーリ・イバニシン飛行士と3人でソユーズ宇宙船に乗り込み、ステーションを離脱。宇宙船は約3時間半後の同午後1時前、カザフスタン共和国の広大な草原に着陸した。宇宙船の外に出た大西さんは、宇宙での長期滞在の疲れも見せず元気な様子で「地球は空気がおいしいです。4カ月間充実した時間を過ごすことができました。皆さんの応援ありがとうございます」とコメントした。
大西さんは7月7日に米ロ2人の飛行士と共に地球を飛び立ち、約2日後にステーションに到着した。大西さんの重要な仕事の一つは日本実験棟「きぼう」内で骨や筋肉が弱くなる老化現象を解明するマウスの飼育実験だった。米航空宇宙局(NASA)の宇宙船で届けられた雄のマウス12匹を、無重力環境と人工的に重力を生じさせた環境とに分けて35日間飼育した。
また今月23日には、食料や実験機器など約2トンを積んだNASAの無人補給機「シグナス」をロボットアーム操作でキャッチすることに成功した。大西さんは全日空の元パイロット。滞在中の最大の腕の見せどころで大役を終えた後「シグナスをつかまえました。なんて美しい機体なんでしょう」などと地上に交信してきた。26日には茨城県つくば市の筑波宇宙センターなどの会場に集まった子どもたちと直接交信した。
大西さんは自身のウェブサイトをほぼ毎日写真付きで更新し、ステーションでの任務のほか宇宙からの美しい眺めなどについて発信してきた。日本人の宇宙飛行は11人目で、ステーションの長期滞在は6人目。