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パリ協定11月にも発効 日本は今国会で審議へ

2016.10.03

 地球温暖化対策の新しい国際枠組みである「パリ協定」が年内に、早ければ11月にも発効する見通しになった。中国、米国に続き、欧州連合(EU)なども近く批准する予定で、既に60カ国以上 を数える批准国の温室効果ガス排出量の総計が協定発効に必要な世界の総排出量の55%を超える。批准手続きが順調に進めば、気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)がモロッコで開かれる11月上旬にも発効する。日本政府は現在開会中の臨時国会で批准案を審議する予定だが批准決定時期のめどは立っていない。

 国連や環境省関係者らによると、温室効果ガス排出大国の中国と米国が9月3日に同時に批准し、9月21日にニューヨークで開かれた国連会合時点で批准国は60カ国になり、発効要件の一つである「批准国55カ国以上」を満たした。もう一つの発効要件である「批准国の排出量が世界の総排出量の55%に達する」についても、EUやインドが批准方針を決めたことで年内の発効は確実となった。

 パリ協定は、京都議定書に代わる新しい国際枠組みとして昨年12月にパリ郊外で開かれた気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択された。世界の温室効果ガス排出量を今世紀後半に実質ゼロにし、産業革命以来の気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えるとの目標を掲げた。協定は二つの発効要件を満たすと30日後に発効する。

 パリ協定採択後の初めての国際会議として11月7日から18日までモロッコのマラケシュでCOP22が開かれる。ここでは温室効果ガス排出量を相互に検証する仕組みや発展途上国への技術・資金支援の枠組みなど、協定の実施ルールについて協議される。会期中までに協定が発効すればCOP22はパリ協定第1回締約国会議として位置付けられる。協定発効の時点で批准国でないとオブザーバー参加となり事実上発言力を失う。

 環境省関係者によると、政府は10月中旬に批准案提出を模索しているが、審議日程などは未定でCOP22に間に合うかどうか流動的な情勢という。

写真 パリ協定採択時、フランス政府提供
写真 パリ協定採択時、フランス政府提供

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