国際情報企業のトムソン・ロイター社は21日、今年あるいは近い将来ノーベル賞を受賞する可能性が高いと予想する研究者24人を発表した。日本人では、医学生理学賞候補に本庶佑(ほんじょ たすく)京都大学名誉教授(74)、化学賞候補に前田浩(まえだ ひろし)崇城大学特任教授(熊本大学名誉教授)(77)と松村保広(まつむら やすひろ)国立がん研究センター分野長(61)の3人を挙げている。
本庶氏は、日本の分子免疫学の権威で数々の業績を残して2013年には文化勲章を受章している。今回同社がノーベル賞候補に挙げた業績は「プログラム細胞死1(PD1)およびその経路の解明により、がん免疫法の発展に貢献」。免疫に重要な役割を持つタンパク質「PD1」を発見して免疫にブレーキをかける役割を解明、全く新しいメカニズムのがん免疫療法に道を開いた。この成果を基にPD1に作用する新薬「オプジーボ」が開発され皮膚がんや肺がんなどに使用されている。
前田氏と松村氏は、腫瘍には高分子薬物が集まりやすく、蓄積しやすいという「EPR効果」を発見。この成果を基に高分子型の抗がん剤開発に結び付けた。
トムソン・ロイター社は、2002年から毎年、学術論文の引用データなどを分析して独自に候補者を予想、発表している。日本人はこれまでに延べ22人が選ばれ、このうち山中伸弥(やまなか しんや)京都大学教授が医学生理学賞を、中村修二(なかむら しゅうじ)米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授が物理学賞を受賞している。
今年のノーベル賞は10月3日に医学生理学賞が、4日に物理学賞が、5日に化学賞がそれぞれ発表される。
(トムソン・ロイター社提供)
関連リンク
- トムソン・ロイタープレスリリース『「トムソン・ロイター引用栄誉賞」(ノーベル賞予測)2016年、日本からの受賞者は3名)』