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ゲリラ豪雨予測手法を開発 スパコンと最新鋭気象レーダー生かし

2016.08.10

 理化学研究所(理研)計算科学研究機構と情報通信研究機構、大阪大学などの共同研究グループが、スーパーコンピューター(スパコン)の「京(けい)」と最新鋭気象レーダーの特性を生かしてゲリラ豪雨を予測できる手法を開発した。ゲリラ豪雨は数分で積乱雲が発生して大量の降雨をもたらすためこれまでは正確な予測が難しかった。研究グループは今後この手法をさらに進歩させて素早く、精度高くゲリラ豪雨を予測できるシステムの実現を目指すという。理研などのグループが研究成果を9日発表した。

 研究グループによると、これまでの天気予報シミュレーションは、1時間ごとに新しい観測データを取り込んで更新し、解析度も1キロより粗かった。このためわずか数分の間に急激に発生、発達してゲリラ豪雨をもたらす積乱雲の出現を予測することは困難だった。

 天気予報の根幹はシミュレーションと実際の観測データを組み合わせる「データ同化」という手法。理研計算科学研究機構データ同化研究チームの三好建正(みよし たけまさ)チームリーダーらの研究グループは、情報通信研究機構と大阪大学などが開発した最新鋭の「フェーズドアレイ気象レーダー」と理研のスパコン「京」から得られる膨大なデータを組み合わせることにより、30 秒ごとに新しい観測データを取り込んで更新し、解像度も100メートルの「ビッグデータ同化」を実現させた。

 研究グループによると、2014年9月11日朝に神戸市で発生したゲリラ豪雨の際の雨量変化などを正確に再現することに成功。今後この手法をさらに進歩させることにより、30分後のゲリラ豪雨の予報が可能になるという。

 この研究は科学技術振興機構(JST)「戦略的創造研究推進事業(CREST)」研究領域の一環などで行われた。

画像 右がシミュレーションで再現されたゲリラ豪雨(2014年9月11日朝に神戸市で発生)。左は実際の観測データ(理研、情報通信研究機構、大阪大学などの共同研究グループ提供)
画像 右がシミュレーションで再現されたゲリラ豪雨(2014年9月11日朝に神戸市で発生)。左は実際の観測データ(理研、情報通信研究機構、大阪大学などの共同研究グループ提供)

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