世界で初観測された重力波を放出させたブラックホールは「ビッグバン」と呼ばれる宇宙誕生の直後にできた「原始ブラックホール」だったとの新理論を東京大学、京都大学、立教大学の共同研究グループがまとめた。研究成果は2日付の米物理学会誌に掲載された。
重力波は極めて重い物体が超高速で動くときの空間や時間の流れがわずかにゆがんで波として伝わる。アインシュタインが約100年前に存在を予言していたが、米大学を中心とする国際実験施設「LIGO」の研究グループが2月に「太陽の約30倍の重さを持つ二つのブラックホールが合体したときに放出された重力波を捉えた」などと発表した。
ブラックホールは、あまりの重力の強さに光さえも出てくることができない天体で、星が大爆発する超新星爆発でできるとされてきた。原始ブラックホールはビッグバンの直後の高温、高密度の宇宙でできたとされる。
東京大学大学院理学系研究科附属ビッグバン宇宙国際研究センターと京都大学基礎物理学研究所、同理学研究科、立教大学理学部による共同研究グループは、原始ブラックホールにまつわる理論に基づいて二つの原始ブラックホールが合体する頻度を計算。LIGOの観測データで明らかになった二つのブラックホール合体頻度と比較したところ大まかに一致したことなどから「初観測された重力波の起源は原始ブラックホールの合体によるもの」との新理論をまとめた。
研究グループは「今後の観測で今回提唱した新理論が正しいことが確かめられれば現代宇宙論に大きな1ページが加わる」としている。
関連リンク
- 立教大学プレスリリース「初検出された重力波の起源は原始ブラックホール?」
- 東京大学・京都大学・立教大学連名プレスリリース「初検出された重力波の起源は原始ブラックホール?」