情報・システム研究機構国立情報学研究所が、子どもの読解力向上を目的とする新たな研究所を教育関連企業5社と産学連携して設立する。同研究所が26日発表した。
国立情報学研究所によると、同研究所が人工知能(AI)プロジェクトの一環として開発した独自のテストを使用、6校の公立中学校の生徒計340人を対象に教科書に書かれた基本的な文書をどれくらい正確に読み取れるかを調べたところ、約5割の生徒が内容を読み取れておらず、約2割は基礎的な読解もできていなかった。
同研究所は、昨年度から「基礎的な学力」と言える読解力を科学的に診断し、読解力の個人差を決める要因を探る研究に取り組んできた。今回のテスト結果などから、現在の子どもの読解力の低い実態が分かった、として関連する研究を加速し、読解力を高める教育方法を考案する研究所「教育のための科学研究所」を設立することを決めたという。
新研究所設立に向けて同研究所が連携するのは、代々木ゼミナール、ベネッセコーポレーション、東京書籍、日本電信電話(NTT)、富士通。6者が設立準備会を設置し、今後具体的な設立の準備を進める。
同研究所はAIが東大の入試問題に挑戦する研究もしており、実施されたテストはAIの文章読解力を調べる実験にも使われた。同研究所は、時代の変化に即した教育をデザインするためには大規模で客観的なデータに基づく科学が必要だが、一つの研究グループや企業では収集データに限界があるため幅広い産学連携が求められている、としている。
関連リンク
- 国立情報学研究所プレスリリース「文章を正確に読む力を科学的に測るテストを開発」