政府は、第5期科学技術基本計画に基づいて取り組む主要施策をまとめた「科学技術イノベーション総合戦略2016」を24日の閣議で決定した。今年度の総合戦略は、総合科学技術・イノベーション会議(議長・安倍晋三首相)が2016年度から17年度に向けて取り組む主要施策を明示している。
総合戦略は第2次 安倍政権が発足して以来、成長戦略の一環として年度ごとに策定している。今回は重要項目として、政府が新しい経済社会の姿として提唱する「 Society 5.0(超スマート社会)」実現に向けた取り組みを強力に推進することや、若手研究者の育成や女性活躍促進など中心とした「人材力の強化」、 大学改革と研究資金改革の一体的推進、イノベーション創出に向けた「人材、知、資金の好循環システム」の構築、司令塔機能を強め科学技術イノベーション政策を一体的、戦略的に推進する機能の強化−の5つを挙げた。
政府は「Society 5.0(超スマート社会)」を「狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く新たな経済社会。サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させ、経済的発展と社会的課題の解決を両立し、人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる、人間中心の社会を表す」と定義している。第5期科学技術基本計画でもこうした社会を目標としており、ロボット、人工知能(AI)技術を活用することにより、例えば「車の自動走行に必要な次世代3D地図づくり」といった具体的な目標も数多く盛り込んでいる。
「超スマート社会」については、20日閣議決定された「平成28年版科学技術白書」の中で具体的な日常生活が紹介されている。