政府は1日までに、首都直下地震が発生した際の救助や救援物資輸送などのために全国から自衛隊、警察、消防計約14万人を召集、東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県の被災各地に派遣することを柱とした「応急対策活動計画」をまとめた。要員は4都県の警察、消防を含めると35万人規模。計画は、生存率が大きく下がる72時間までの行動目標を示したほか、帰宅困難者には勤務先などでの待機を求めている。政府は今後防災訓練などを通じて計画内容の実効性を高めたい考えだ。
計画によると、首都圏に深刻な影響をもたらすとされるマグニチュード(M)7級、東京都内で震度6強以上を想定し、約230カ所の救助活動拠点を設置する。応援部隊は、自衛隊は約11万人、消防は約1万6千人、警察は約1万4千人。応援部隊や救援物資の輸送ルートを確保するために地震後速やかに放置車両の撤去や一般車両の通行規制を実施し、都心に通じる8方向の幹線道路などの緊急輸送ルートを24時間以内に確保する。道路だけでなく、河川も使う。輸送手段に航空機450機、船舶330隻も確保する。
医療・救護については、臨時の医療施設(SCU)を地震後速やかに設置し、全国で1,426ある災害派遣医療チーム(DMAT)が被災自治体の要請を待たずに出動できるようにした。また4都県に150の災害拠点病院を活用。これら施設に人材、物資、燃料などを重点供給する。また重症患者は成田、羽田両空港などから被災地外の病院に広域搬送する。燃料は石油業界と連携し、緊急輸送ルートにも優先供給する。
食料などについては地震3日目までは各家庭と自治体の備蓄で対応してもらう。4〜7日目は避難所などに届ける。この間の必要量は、食料5,300万食、毛布34万枚、オムツ(乳児、大人用)416万枚。飲料水は地震直後から7日目までで22万トン、簡易・携帯トイレ3150万回分と見積もっている。計画ではこれらの緊急物資を8カ所の広域拠点に届ける、とした。
また一斉帰宅による混乱を回避するために、都県民には無理に帰宅しないよう要請し、一時的な滞在場所として、協力民間企業や役所の施設を開放する。
東日本大地震で経験したように大地震の発生直後から交通網はまひする。東京都だけでも約490万人、4都県で約800万人の帰宅困難者が発生すると見込まれている。また、勤務先、学校のほか、企業や役所が提供する「一時滞在施設」を使っても都内だけで70万人近くが行き場を失うとの推計もある。応急対策活動計画では、勤務先などに最長3日間とどまるよう求めた。道路に人があふれて救助活動に支障が出るため。
首都直下地震の発生確率は30年以内に70%程度とされる。政府の中央防災会議の被害想定では、最悪約2万3千人が死亡、約7.2万人が要救助者となり、全壊、焼失建物は約61万棟に及ぶとされている。
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