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子育て中のがん患者年5万6千人 親子への心のケア大切

2015.11.05

 国立がん研究センターの研究グループが、18歳未満の子どもがいるがん患者は全国で年間約5万6千人、患者の子どもは年間約8万7千人に上る、との推計値をまとめ、4日発表した。子育て中にがんと診断された人や、親のがんを知った子どもへの心のケアの大切さをあらためて考えさせるデータだ。

 研究グループは、2009年から13年までに同センター中央病院(東京都中央区)に入院した20歳から59歳までの患者約6,700人を調査した。このうち18歳未満の子どもがいる患者は約25%で、平均年齢は男性が約47歳、女性が約44歳、子どもは約11歳だった。診断されたがんの種類は、男性が胃がん(約16%)と肺がん(約13%)、女性は乳がん(約40%)と子宮がん(約10%)が多かった。研究グループは、これらの調査データを基に全国のがん登録データを利用するなどして全国の実数を推計した。

 日本人が一生涯にがんになる確率は男性約56%、女性約43%。年齢とともに罹患(りかん)率は上昇する。最近は結婚年齢や出産年齢が高齢化し、子どもを持つ年齢も上がっている。こうした傾向から子どもが思春期の時期に親ががんになるケースも増えていた。一方で、子育て最中のがん患者やその子どもの実数は不明だった。

 研究グループは「子育て中の患者は多方面から支援を受けながら、より良い療養生活とその後の人生を送ることが重要だ。今後は社会全体で親と子どもへの支援体制を構築していく必要がある」と強調している。

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