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メタン排出抑える高収量のイネ新種開発

2015.08.07

 主要な温室効果ガスの一つであるメタンの排出を抑え、かつ収量も増えるイネの新品種が、米、スウェーデン、中国の研究機関、大学によって共同開発された。英科学誌ネイチャー7月30日号に成果が報告されている。

 米バテル記念研究所によると、新品種は同研究所が運営管理する米国のパシフィック・ノースウェスト国立研究所と、スウェーデン農業科学大学、中国福建省農業科学院,中国湖南農業大学の協力で生まれた。パシフィック・ノースウェスト国立研究所の研究チームはまず、転写因子とよばれる特別なタンパクが作られる場所を調節することにより、植物内で炭素と生産物である糖がどのように蓄積されるかを解明した。

 さらに、光合成により大気中から取り込んだ炭素の大半を葉や種子だけに供給し、根や土壌には回さない働きを持つSUSIBA2と呼ばれる転写因子をオオムギから発見した。根や土壌への炭素供給を断てば、イネの根や土壌中のメタン発生源である微生物が必要とする炭素も断つことになり、メタン発生を抑えることが期待できる。

 研究チームがSUSIBA2を一般的なイネに組み込み、3年間中国で栽培実験を続けた結果、SUSIBA2を組み込んでいないイネに比べて常に収量が多く、メタンの発生もほとんど抑えられることが確認できた。

 バテル記念研究所によると、大気中に放出されるメタンの約17%は水田からとされている。温室効果は同じ量の二酸化炭素(CO2)の20倍も大きい。世界気象機関(WMO)が昨年9月に公表した温室効果ガス年報によると、大気中のメタンは引き続き増加しており、2013年の世界平均濃度は世界最高記録を更新した。工業化が起きる前の1750年に比べると約2.5倍も高くなっている。大気中に放出されるメタンの約60%が、反芻(すう)動物の吐く息や稲作、化石燃料採掘、埋め立て、バイオマス燃焼などの人間活動によるとされている。

 日本政府が国連に提出した2030年の温室効果ガス排出量削減目標を盛り込んだ約束草案によると、2013年度のメタン排出量はCO2換算で3,600万トン。これを2030年に3,160万トンにまで減らすとしている。

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