日本学士院は3月12日、優れた業績を挙げた研究者に贈る日本学士院賞に、材料科学者の細野秀雄(ほその ひでお)東京工業大学教授(61)、産婦人科医の鈴木雅洲(すずき まさくに)東北大学名誉教授(93)ら9人を選んだと発表した。細野教授には恩賜賞も贈る。
受賞者と授賞理由は次の通り。
- 細野秀雄(ほその ひでお)東京工業大学教授、材料科学、61歳。無機電子機能材料の創製と応用を研究し、鉄が主成分の高温超電導体などを発見。
- 志茂碩敏(しも ひろとし)公益財団法人東洋文庫研究員、東洋史、73歳。13、14世紀に中央ユーラシアを制覇したモンゴル帝国の政権構造を分析。
- 鈴木啓介(すずき けいすけ)東京工業大学教授、有機合成化学、60歳。基礎化学の立場から合成経路を設計し、高次構造の天然有機化合物を合成。
- 近藤豊(こんどう ゆたか)東京大学教授、地球大気環境科学、65歳。気球搭載の一酸化窒素(NO)高感度測定器を開発、成層圏NOの高度分布を測定。
- 牧島一夫(まきしま かずお)東京大学教授、宇宙物理学(実験)、65歳。日本のエックス線天文衛星「ぎんが」などで中性子星X線パルサーを観測。
- 香取秀俊(かとり ひでとし)東京大学教授、量子エレクトロニクス、50歳。現在の原子時計より1000倍も精密な光格子時計を発明、開発。
- 吉田稔(よしだ みのる)理化学研究所主任研究員、応用微生物学、57歳。遺伝子発現の制御の仕組みの一端を解明し、創薬の基盤開発に貢献。
- 満屋裕明(みつや ひろあき)熊本大学教授、血液内科学、64歳。世界初のエイズ治療薬をいち早く開発し、エイズの多剤併用療法を開拓。
- 鈴木雅洲(すずき まさくに)東北大学名誉教授、産婦人科学、93歳。1983年に日本で初めて体外受精による出産を報告し、不妊治療に貢献。
関連リンク