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北澤宏一氏死去、超伝導研究からJST理事長も

2014.09.30

 科学技術振興機構(JST)理事長や福島原発事故の民間事故調査委員会委員長などを務めた北澤宏一(きたざわ こういち)東京都市大学学長が9月26日、急性肝不全のため東京都内の病院で死去した。71歳だった。長野県飯山市出身。東京大学名誉教授。通夜・告別式は家族葬で行い、後日、「お別れの会」を開く。その日時と場所は未定。東京都市大学が9月29日、発表した。

 高温超伝導が専門。1986年末〜87年にかけて起きた高温超伝導フィーバーは、北澤氏らが東京大学工学部で主導した実験がきっかけになった。87年から2002年まで東京大学教授、02年に紫綬褒章を受けた。

 2002年に科学技術振興事業団専務理事に転じ、07〜11年に科学技術振興機構の理事長を務めた。山中伸弥京都大学教授のヒトiPS細胞作製が発表されると、「30年に1度出るような大発見」と評価して、すぐに積極的な支援に乗り出して再生医療研究を活性化するなど研究者出身らしい手腕を見せた。

 11年の東京電力福島第一原発事故では、民間の立場で検証する福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)の委員長に就任し、12年に、事故当時の官邸に問題があったとする報告書をまとめた。13年に東京都市大学の学長に就任していた。

 北澤氏からJSTを引き継いだ中村道治(なかむら みちはる)理事長は「研究者としての経験を生かしながら、当機構と大学・研究者間の懸け橋となり、産学官連携を広めて科学技術イノベーション創出の先駆けとなる研究、事業を推進した」との談話を発表し、功績をたたえた。

北澤宏一 JST前理事長

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