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デジタル絵本は4歳児の読む能力促す

2014.05.07

 子どもの間でも電子書籍が急速に浸透している。デジタル絵本は4歳児が平仮名を読む能力を高める可能性があることを、京都大学霊長類研究所の正高信男(まさたか のぶお)教授らが、すずき出版(東京)と協力して実証した。デジタル絵本を上手に活用すれば、子どもが読む能力を伸ばしうることがうかがえる。5月2日付のスイス科学誌Frontiers in Psychologyに発表した。

 デジタル書籍の子どもへの影響は欧米で議論が沸騰しているが、実証的な研究はまだほとんどない。正高教授らは、iPadにダウンロードした「たなばたバス」(藤本ともひこさん作・絵)という絵本の約5分のナレーション付きデジタル版を4歳児15人 に対して6日間、毎日2回計12回連続して「読み聞かせ」した。親が毎回一緒に立ち会った。その結果、4歳児が読める平仮名の数は16字から平均3文字増えた。同じ絵本を従来の印刷紙媒体で読み聞かせた別の4歳児15人では、そうした学習効果はなかった。

 ただ、実験に使ったデジタル絵本は、プロのナレーションに合わせて、読み上げられる文字がその都度、画面上に赤く彩られて表示されるようにして、印刷された絵本にない特徴を備えていた。デジタル版の要素より、カラオケ画面のように文字を強調する仕掛けが効いた可能性もある。

 正高教授は「この研究で、デジタル絵本が印刷された絵本より優れていると主張するつもりはない。養育者が絵本を読み聞かせるのは子どもの発達に重要な役割を果たしている。しかし、絵本を読んであげる時間が取れないこともあり、デジタル書籍を柔軟に活用したらよい。こうした研究結果は、子どもの発達に有益なデジタル書籍を開発する際のヒントになる。今後は書くことの習得にもどう影響するか、検討したい」と話している。

「たなばたバス」のデジタル版
写真1. 「たなばたバス」のデジタル版

 

「たなばたバス」ナレーション付きデジタル版を見る母子
写真2. 「たなばたバス」ナレーション付きデジタル版を見る母子
(いずれも提供:京都大学)

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