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免疫が老化する仕組みを発見

2014.04.03

 免疫システムが老化する仕組みの一端を、愛媛大学医学系研究科の山下政克(やました まさかつ)教授と桑原誠(くわばら まこと)助教らが見つけ、4月2日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズのオンライン版に発表した。将来は、老化に伴う感染症や炎症疾患の予防や治療に結びつく可能性があるという。

 老化によって、病原体への免疫応答が低下し、過剰な炎症反応も引き起こされる。この現象が免疫システムの老化で、免疫系の司令塔のヘルパーT細胞の機能的な劣化が一因とされているが、その仕組みはよくわかっていない。

 山下教授らはまずマウスで、メニンというタンパク質がヘルパーT細胞の老化を制御していることを示した。メニンを持たないマウスは、免疫応答がうまくできず、細胞の老化が起きていた。次に、メニンの下流で働いて、老化に伴う過剰な炎症反応の誘導を抑えるタンパク質としてバック2を突き止めた。バック2の発現はメニンによって維持されていた。この研究で「メニンの機能が弱まることでヘルパーT細胞の老化が誘導される。また、メニンやバック2の発現を誘導できなくなると、免疫老化に伴った炎症反応につながる」という老化のシナリオが浮かんだ。

 山下教授は「メニンからバック2という経路は、免疫老化を抑える仕組みの一つだ。この経路は免疫を研究する新しい手がかりになる。詳しく解析して、メニンやバック2の活性を高めるなどの制御法を見つけたい。そうすれば、将来、臨床的にも使えるだろう」と話している。

メニン-バック2経路による免疫老化の仕組み
図. メニン-バック2経路による免疫老化の仕組み

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