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多発性硬化症の新薬の医師主導治験を開始

2014.02.26

 神経難病の多発性硬化症(MS)の患者を対象に新薬OCHの医師主導治験を始めると、国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)が2月24日、発表した。同センターの山村隆・免疫研究部長らが3月から9人の患者に3カ月投与して効果や安全性を調べる。内閣府の先端医療開発特区(医療スーパー特区)に指定された同センターの大型研究開発プロジェクトとして進められる。

 多発性硬化症は主に20〜30代で発症し、神経障害や運動まひ、感覚障害などの症状が再発と回復を繰り返す免疫炎症性の難病で、患者は世界で約200万人、国内で約1万5千人いる。若い女性に多く、増え続けている。多様な薬が使われているが、有効性と危険性が比例しているのが問題で、有効性が高くて危険性の低い薬の開発が求められている。

 山村部長らは2000年ごろ、多発性硬化症の新薬候補として糖脂質の一種OCHを合成した。免疫細胞の一種「ナチュラルキラーT(NKT)細胞」を刺激して、炎症を抑えるインターロイキン(IL)4を誘導する免疫修飾作用がある。週1回の飲み薬で、使いやすい。動物実験を経て12年から13年に健常成人計15人を対象に服用試験(第1相治験に相当)をして、安全に投与できる量を確かめ、医師主導治験に入る手はずを整えた。

 山村部長は「15年かけた長い研究でようやく治験にこぎ着けた。OCHは安全性・有効性に優れた飲み薬になる可能性は高く、手応えは良い。医療スーパー特区の制度も生かし、新薬としてぜひ早く世に出したい」と意欲を見せている。

新薬OCHの作用の仕組み
図1. 新薬OCHの作用の仕組み
多発性硬化症の動物モデルのマウスへのOCHの効果
図2. 多発性硬化症の動物モデルのマウスへのOCHの効果

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