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クラゲの発生抑制に道開く

2014.02.18

 クラゲの発生を効率的に抑制できる方法を、東京大学大気海洋研究所の都丸亜希子・元特任研究員と浜崎恒二准教授、東京工業大学の沖野晃俊准教授が見つけ、米科学誌プロスワンのオンライン版(1月20日)で発表した。

 ミズクラゲは世界中に分布して、ありふれたクラゲだ。その大発生は、発電所の取水口を塞いで出力を低下させたり、漁業の妨げになったりして社会問題になっているが、決め手となる対策がないのが実情だ。今回の発見は、クラゲ大発生の仕組み解明や発生の制御につながる成果といえる。

 クラゲは卵から孵化した幼生(プラヌラ)が海水中を浮遊してから、岩や貝殻、海岸の構造物にびっしりくっつく。この着底後、イソギンチャクのようなポリプに変態し、次々に分裂して増え、成体のクラゲになる。研究グループは、このクラゲのライフサイクルのうち「基質への着底を防げれば、クラゲの大発生を抑制できるのではないか」として、着底のプロセスに注目した。

 プラスチックをモデル材料として、大気圧プラズマ装置を用いて表面を親水化(水になじむ性質を持たせること)したところ、ミズクラゲの幼生の着底率は最大で8分の1まで激減した。プラスチック表面のプラズマ処理前後の変化を、電界放射型走査電子顕微鏡などで観察し、親水性だけが変わっていることを確認した。この実験で「クラゲの幼生が親水性の低い表面により着底しやすい」ことを初めて明確に示したという。

 研究グループは「この方法は、幼生が着床する表面の物理的な構造を変えることなく、簡単に使えることが利点だ。クラゲだけでなく、微生物の付着を制御する手法としても有効で、発電所の取水口や海洋構造物、船舶への付着生物の防止技術にも役立つ」と期待している。

プラスチック表面のクラゲ幼生の着底密度
図. プラスチック表面のクラゲ幼生の着底密度
大量に発生したミズクラゲの集群 浮き桟橋に設置されたフロートの裏面に着底、増殖したポリプ
大量に発生したミズクラゲの集群 浮き桟橋に設置されたフロートの裏面に着底、増殖したポリプ。拡大写真の白く見える部分がポリプのかたまり

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